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【白とオレンジの卵・・・今年はこれっきり:長野県北アルプス山麓】2015.6.9


「2週間遅いよ・・・」お決まりのセリフをまた聞いてしまいましたれど、結局今年は北アルプス山麓でクモマツマキチョウ関連の写真はこれっきり。1週間出遅れて、成虫の採集後に現地に。でも何とか、白とオレンジの卵の写真だけは撮れました。

まず白い卵。産卵後、間も無くかしらね?クモマツマキチョウの卵ではないかもしれませんが・・・


白い卵の1週間後に、別の食草にオレンジの卵。


この二つの卵の写真の陰には、皆さんに知ってほしいお話しがあります。聞いていただけますか?山麓の悲しいお話を。

数年前から現地の方々に「ネットを持った人たちが来ているよ」と聞いていました。私自身がお会いしたことはなかったのですが、その時からの心配事がこの数年的中しており、しかも訪れる人の人数は、年々何倍にも膨れ上がっているのです。

大勢のチョウ愛好家の皆さんが北アルプス山麓を訪れてくださることは、非常に嬉しいことですし、心から歓迎したいのですが、残念ながら、一部の心ない人たちのおかげで、現地では悲しいことが起こりすぎているのです。

春を待ちわびて美しい姿で舞い出したチョウを、捕虫網を持った人や卵を食草ごと持ち去る人が後を絶たず、この2年ほどは採集者が急増。結局産地は以前にも増して荒れ放題となっているのです。

監視も警備もありますが、粘る採集者たちを撃退できないのが現状です。

クモマツマキチョウは長野県文化財保護条例の県指定天然記念物で、長野県内のどこであっても採集禁止のチョウです。
罰金は30万円と50万円の2種類あり、クモマツマキチョウのような指定希少野生動植物の採集は30万円、ミヤマシロチョウのような特別指定希少野生動植物は1年以下の懲役または50万円の罰金だそうです。

また長野県希少野生動植物保護条例では、クモマツマキチョウの南アルプス・八ヶ岳連峰亜種の地域個体群を指定希少野生動植物に指定しており、南アルプス・八ヶ岳での捕獲規制をしています。

そういったチョウのいる場所を、現地の風景などを入れた写真とともにインターネットで流す人もいれば、その写真をプリントアウトして持ってくる人もいます。

「写真撮影だけだから、場所を教えて欲しい」と、遠くから数日掛かりで来た女性に言われました。でも、場所を知っていても、お断わりするしかありません。教えた結果を考えれば、私にはそれができないのです。

オレンジのチョウをこの目で見ながら写真を撮りたくて、遠くから数日掛かりで来てくださる皆さんにこそ、本当は場所を教えてあげたいのに、現地では大変な事が起こっている現状をお伝えするが精一杯でした。本当に申し訳ない気持ちになりますね。

だって、あの写真の場所、私も知っていて写真に納めているんですもの。撮影年月日は多少違っていても、それほど大きな変化はなく、写真の食草にあったオレンジの卵は、数日後にすっかり上が摘み取られ、近くで確認した別の卵は、食草ごと持ち去られてしまったんです。

それが1箇所だけではなく、あっちもこっちもです。一箇所は、食草がほぼ全滅でした。それが昨年のことです。


今年はもっと大勢の皆さんが現地を訪れました。レンジャーさんがびっくりするほど大勢の皆さんでした。

レンジャーさんの話によると、20人程の皆さんがカメラでチョウを撮影した頃合いを見計らって、「もういいですか」と言った途端、いきなり皆さんの前で捕虫網を振り、成虫を捕まえた人がいたとか。20人もいながらなぜその人を捕まえられなかったのかと思いましたが、これは想像ですが、相当人相が悪かったのでしょうね。

その人にとっては何がなんでも手に入れたい魅力あるチョウの一つなのでしょうけど、採集禁止のチョウなんですよ。知っていてやるわけでしょうが、非常に悪質ですよね。ウフフと笑いながら展翅している姿を思い浮かべれば、腹立たしくなりますね。


ところで上の写真の卵ですが、白い卵は私の撮影後の当日あるいは後日、何れにしても食草ごと現地から無くなりました。
この白い卵の食草にはオレンジの卵も数個産み付けられていました。どこかに消えたのです。

黄色い卵は1週間後に撮影したものです。別の食草に産み付けられていました。
白い卵よりも後で産卵されたものと思われます。

オレンジの卵が現地で無事に育つかどうかは分かりませんが、人手によって標本の一つにはされたくないと思うのは、決して私だけではなく、現地を訪れた大勢の良心的なチョウ愛好家の皆さんの思うところだと思います。

来年も現地で美しく舞うチョウの姿を見たいですね。
現地でお会いした大勢の皆さん、ぜひ来年もまた北アルプス山麓でお会いしましょう。


クモマツマキチョウ Anthocharis cardamines isshikii
シロチョウ科 モンシロチョウ亜科 ツマキチョウ族 ツマキチョウ属

・クモマツマキチョウ八ヶ岳・南アルプス亜種 Anthocharis cardamines hayashii
 環境省のレッドリスト(2012)では準絶滅危惧(NT)
 長野県版レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)
野県希少野生動植物保護条例は、地域個体群を指定希少野生動植物に指定
長野県文化財保護条例の県指定天然記念物
❇︎ 採集が禁止されています。

・クモマツマキチョウ北アルプス・戸隠亜種 Anthocharis cardamines isshikii
環境省のレッドリスト(2012)では準絶滅危惧(NT)
長野県版レッドリストでは準絶滅危惧(NT)
 長野県文化財保護条例の県指定天然記念物
❇︎ 採集が禁止されています。


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