【白とピンクのオドリコソウ:長野県北アルプス大町市】


2018.06.02

長野県大町市の北アルプス針ノ木岳登山口付近で、白い花のオドリコソウが咲いています。昔の人たちが笠をかぶって踊る踊り子に例えて踊子草と名付けたようです。笠をかぶり白い衣装をまとった踊り子たちが茎の周りで輪になって踊っているような花で、面白いなと思います。

私は今まで白い花しか見たことがなかったのですが、先日、いつも歩く標高1.400メートル付近の山道の脇に、ピンクの笠をかぶったオドリコソウが一本だけ咲いていました。周りはみんな白い踊り子たちなのになぜかその花だけが薄っすらピンクがかっているのが不思議なくらいでした。

薄っすらピンクの花のオドリコソウ:長野県北アルプス登山口大町市 2018.5.26撮影

山渓フィールドブックス①春の野草 永田芳男著によりますと、「平地のやぶや原野に普通だが、かなり標高の高い山にまで生える。垂直分布の幅も水平分布の幅も広い」ようです。北海道から九州に分布するのだそうです。

どのくらい高いところまでだろうと、幾つかの図鑑を調べてみました。標準現職図鑑全集9植物Ⅰ 大井次三郎著(保育社1967年)によると、「平地や山地、亜高山の半日陰の草地に生える多年草」とありました。標高の低いところから標高1.400から1.500メートルの登山道付近にあっても、不思議ではないのですね。

次は、色に注目してみました。山渓フィールドブックス①春の野草では東日本には白花が多く、西日本にはピンクの花が多い」とのこと。
山渓ハンディ図鑑 野に咲く花(山と溪谷社)では八王子市で撮影した淡黄色の画像と、高知市で撮影した淡紅紫色の花の画像を掲載しています。

前田信二さん著の都会のいきもの図鑑、茨城いきもの図鑑にも登場しています。前田さんは茨城いきもの図鑑に、牛久市で撮影したピンクの花の画像を掲載し、都会のいきもの図鑑には、群生した白い花を掲載しています。すべてご自身が撮影した画像とのことです。群生した様子を画像で見せているのは前田さんの都会のいきもの図鑑だけでした。まさにこんな感じに山で咲いています。見事ですね。

茨城県や長野県北アルプスで咲くピンクの花、そして都会にも、標高1.500メートルの登山道にも咲く、実に不思議な植物ですね。もっと高い登山道ではどうなのか、山に登る時に気にかけて山道脇を見るしかないのかも知れませんね。

私が北アルプスの登山口などでよく見るオドリコソウは、こんな感じに白いです。ピンクが入ると入らないのではこんなにも印象が違います。うつむき加減が踊っているように見えないのは、私の目がピンクの花に向いてしまったからでしょうか?

白い花のオドリコソウ:長野県北アルプス針ノ木岳登山口大町市 2018.5.26撮影


オドリコソウは小谷村の山道などにもあります。ヒメオドリコソウと一緒に咲いているところもあり、その違いを見ることができます。
ヒメオドリコソウは幼い頃に、花の蜜を吸った思い出があります。

ヒメオドリコソウの蜜が吸えるので、このオドリコソウの蜜も吸えるのだろうと思って小谷村の山道で吸ってみました。ヒメオドリコソウほど甘く感じなかったのはきっと、ヒメオドリコソウは蜜の花という、私の思い出の方が強烈だったのでしょうか。それとも山のチョウやハチたちがすでに蜜を吸ってしまい、蜜のたまる場所に蜜が少なかったからなのでしょうか。

山に行ってこの花を見かけたら、子供に戻った気分で、花の蜜を吸って見るのはいかがでしょうか?幼い頃の記憶が蘇ってくるかも知れませんね。



オドリコソウ Lamium album var barbatum
シソ科オドリコソウ属


《参考文献》
山渓カラー名藍 日本の野草 山と渓谷社 1983年 P216
山渓フィールドブックス① 春の野草 永田芳男著 山と渓谷社 P67
山渓ハンディ図鑑1野に咲く花 山と渓谷社 1989年 P162
都会のいきもの図鑑 前田信二著 メイツ出版 2017年 P196
茨城いきもの図鑑 前田信二著 メイツ出版 2016年 P211
標準現職図鑑全集9植物Ⅰ 大井次三郎著 保育社 1967年 P60