【ギフチョウ•ヒメギフチョウ元気でした!:長野県北アルプス山麓北部】2016.4.27

長野県北アルプス山麓北部のギフチョウ、ヒメギフチョウに、今年は何度も出会う機会がありました。

これからと言う地域もありますが、一部ではそろそろシーズンも終わりに近づいてきました。ここらで今年の産地のチョウの記録を振り返っておきます。

北アルプス山麓北部でヒメギフチョウの今年の初見は、4月1日でした。例年ですと、通常の人よりも1週間ほど遅く行動する私ですが、今年は雪解けが早かったこともあり、4月早々、産地に足が向き、思いの外早くヒメギフチョウに出会うことができました。

北アルプス山麓北部と言っても、標高に関係があったのか、なかったのか、そこら辺が非常に疑問ですが、私がいつも確認している地域の、しかも小高い山の上で2頭見たのが1日でした。山の上と言っても中腹あたりですが、少し平らになっていて開けたところに、よく日が当たる場所があるんです。

山には所々にスミレが咲いており、登って行く時に1、2頭目撃していました。写真を撮りたくてもすぐに逃げられてしまいますので、なかなか思うようにいきません。ある程度登った山の上にもスミレが咲いており、そこでしばらく休んでいましたら、ヒメギフチョウの方から近づいてきて、蜜を吸いだしました。

恐る恐るカメラを向けて近づきますと、そこへもう1頭がやってきました。その後の行動から、吸蜜しているのがメスで、寄って来たのがオスではないかと思いましたが、まだまだ4月1日、シーズンが始まったばかりです。性別は定かではありません。

しばらく一人と2頭が、山の上で非常に楽しい時間を過ごすことができたのです。ヒメギフチョウたちは人を恐れる訳でもなく、近くのスミレに降りて来て蜜を吸い始めます。

私の方は観察しながらも、夢中でシャッターを切っていましたが、2頭はじゃれ合いながら花で吸蜜したり、お空を飛び回ったり。

やがて2頭は林の中に姿を隠してしまいましたので、そのままウスバサイシンの葉の裏を確認しながら山を下りました。残念ながらその日は、ウスバサイシンの葉の裏に卵を確認できませんでした。まだ早かったかしらね?

その翌日、同じ地域の別の産地に行ってみました。

そこではカタクリの蜜を吸いながら舞う、ヒメギフチョウを2頭ほど確認できました。

その後の16日には、舞っているギフチョウをかろうじて撮影していましたが、まともな写真を撮れたのは20日過ぎでした。

ウスバサイシンの葉の裏に卵を確認したのも20日です。

その日にはギフチョウにも何回か出会えました。ヒメギフチョウもあちこちで舞っています。こんなに何頭も同じ地域で見たのは初めてでした。

20日には、午前中から午後1時半頃までの間に10頭近くの元気なギフチョウやヒメギフチョウを確認できました。たまたま天気が良く、気温もちょうど良く、風もない穏やかな日だったからかも知れません。

私の目が慣れてきたのか、近くで舞ってくれるからなのか、ギフチョウかヒメギフチョウかが、分かるようになりました。

動体視力がやけに弱くなったものだと自覚していた私ですが、不思議なことに、ある程度近くに来れば、ギフチョウの赤やオレンジがはっきり見えるのです。個体の新鮮さも影響してか、あるいは赤が進出色だからかも知れませんが、ヒメギフチョウよりもギフチョウ方がはっきり分かるのです。

何度もギフチョウの飛翔は見ていましたが、今年ほどはっきり確認できたことはなかったです。フィールドばかりに出ていますので、多少、近視が改善されたこともあるのでしょうか?

ただ、残念ながら舞っている個体の雌雄の区別まではできません。

と言うことで、スミレで吸蜜するギフチョウです。ちょっとピントが甘かったですね。

この地域では、ヒメギフチョウとギフチョウが混生していますが、私の確認の範囲では、食草はウスバサイシンしかありません。そこではギフチョウの幼虫もウスバサイシンを利用しているそうです。

20日の午後、サクラの花で吸蜜するギフチョウを見ました。サクラの方がずっと明るく感じませんか?

おやおや、後尾嚢らしきものが・・・

どうやらメスですね。

たまたま反対方向から見ましたので、このギフチョウの後尾嚢をしっかり確認できました。

少ボケていますが、最大に拡大してみました。一応100%です。

オレンジ色がかった交尾嚢が付いていますね。先っぽがとんがって曲がっています。

今までまじまじと見たことがなかったですし、色や形のことは私には分かりませんが、へえ〜、って感じですね。

無事に産卵して、その卵が無事に育って欲しいですね。

ところで、私も自宅の庭に大町市の方から頂いたウスバサイシンがあります。一株はコブシの木の下であまり日が当たらないためか、ちっとも大きくならないので、今日はもう少し日が当たるところの土を耕し、下に落ち葉をどっさりと入れ、その上にウスバサイシンの一株を移しました。

ここにはギフチョウもヒメギフチョウも来ませんが、食草を増やすヒントが見つかればいいなと思っているところです。

カタクリも山野草店で求めて一株あります。我が家のカタクリは吸蜜植物どころか、葉っぱは毎年何かの虫にやられ、ちっとも増えません。

とは言え、その一輪のカタクリが毎年花を咲かせてくれるので、その花を見て、あちこちの産地のカタクリの咲く時期を判断しています。

ところが今年は判断が鈍りました。いかんせ北部の雪が少なかったからです。

案の定、カタクリがここで咲いた頃に、北部ではチョウが舞いだしたのです。

早めに行動して良かったと思いましたが、もっと自然観察力を身につけないといけないと思った次第です。

とりあえず、北アルプス山麓のギフチョウもヒメギフチョウも元気で何よりでした。来年もまたいっぱい舞って欲しいですね。

ギフチョウ

Luehdorfia japonica

アゲハチョウ科 ウスバアゲハ亜科 ギフチョウ族 ギフチョウ属

環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)

長野県のレッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)2015

ヒメギフチョウ

Luehdorfia puziloi inexpecta Sheljuzhko

アゲハチョウ科 ウスバアゲハ亜科 ギフチョウ族 ギフチョウ属

環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)

長野県のレッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)2015