長野県松本市で昨年シマリスに出会ってから、気になっていたのでシマリスについて色々調べてみました。本来日本国内でシマリスが生息しているのは北海道のみのようです。北海道で生息しているのはエゾシマリス T.sibiricus lineatus と言います。
一方、北海道以外の国内で生息するのは外国から持ち込まれたいわゆる「外来種」のシマリスであって、鳥獣保護法により、本来野外で普通に生息できないことになっています。では、長野県内で見たシマリスは一体何なのでしょう。
当初正確に分からなかったシマリスでしたが、あちこちを調べることによって99%間違いなくチョウセンシマリス T.sibiricus barberi だろうと判明しました。両種の画像がありますので、その違いをご一緒に見てみましょう。
今から12年も前ですが、北海道の大雪山黒岳に、登山を嫌がった夫を半ば強引に引き連れて登りました。山って何が出てくるか分からないだけに興味があったのですが、早速五合目付近でシマリスに出会いました。それが上の画像、エゾシマリスです。
20代の頃、北アルプスでオコジョに出会ってから、山の魅力が数倍に膨れ上がり、それ以降どことはなしに感動と野生の生き物たちとの出逢いを求めて山に登っていました。でもそんな頃にリスに出会う訳でもなく、今頃になって松本市のある山でシマリスと出逢いました。チョウの撮影とアサギマダラの移動調査のために足繁く通い始めた頃でした。
調査の仲間から「ここにはリスがいるよ・・・」と聞かされてはいたものの、偶然にも出会うとはあまり期待していませんでした。ところが突然目の前に現れ、尻尾を立てて車道を横切って行くのです。慌ててシャッターを切りました。上の画像がそれです。
よく見るとシマリスです。
その日のうちにわずか離れた別のエリアに車で移動します。アサギマダラがいれば捕獲してマーキングしますが、それだけが目的ではなく、可能な限りそこに生息するチョウの撮影を続けていました。スジグロシロチョウだって貴重な情報ですので、いれば記録に残しています。
そんな訳で一頭のスジグロシロチョウにレンズを向けてシャッターを下ろした途端、すぐ横で何かが動くのに気づきました。
リスです!
この時にはシマリスなのか、ニホンリス(ホンドリス) Sciurus lis なのかの区別すらつきませんでした。ホンドリスさえ目撃できていなかったからです。
その後、定点観察している場所の近くで、また動くものを目撃しました。今度は背中の模様からシマリスだと分かりました。どうやら少なくとも数個体が生息しているようでした。
黄色いヤマブキの花の向こうに横たわっている樹木の上にちょこんといるのが分かりますね。全体としては茶色をしていますが、背中に黒い線が何本か見えます。尻尾は灰色です。
せっかく背中を見せてくれたのですから、ここでエゾシマリスの背中もお見せしましょう。下の画像がエゾシマリスです。
チョウセンシマリスとエゾシマリスの縞の色に違いがありますね。どちらも黒い縞は5本あります。でも縞と縞の間の色に違いがあるようです。
チョウセンシマリスは中央の黒い線の両側は茶色っぽく、中央の左右の黒い線と、一番外側の黒い線の間は白っぽく感じます。
一方エゾシマリスの中央の黒い線の両側はほんのり茶色っぽいのですが、強い色ではありませんね。さらに尻尾にも縞があることが分かりました。
専門家のサイトでは、尻尾の付け根部分の色合い、耳の後ろまで伸びる白い線などにも注目していました。
尻尾だけ見ると、ネズミの尻尾に灰色の短い毛が生えているだけのように見えますが、シマリスにはニホンリスのようなふわふわ感がないのが、ちょっと残念ですね。
たまたまですが、エゾシマリスも尻尾を立てている場面がありましたので、下にアップしておきます。
この時のエゾシマリスはいろんな動作を見せてくれましたが、尻尾を立てるのはどんな意味があるのかまでは分かりませんでした。
下の画像は立っていますね。何かをおねだりしているようにも見えますが、実際は何なんでしょうね?リスの言葉が分かったら、聞いてみたいですね。警戒しているのか、おねだりしているのか、さらに別の理由があるのか知りたいところですね。
チョウセンシマリスが立っている画像もあります。下の画像です。見晴らしの良いところから、何かを伺ってるかのようですね。
10年前の大雪山では、五合目でシマリスに出会いましたが、まさかその先の山頂にもシマリスがいて出迎えてくれるとは思ってもいませんでした。下の画像です。
ゴツゴツした岩があり、そこからエゾシマリスが顔を出すのです。
多少の植物も生えています。でも山頂なので、それほど多くはありません。イワギキョウ、エゾルリソウ、コマクサなどが咲いていましたが、一体何を食べているのでしょうね?
可愛いでしょう!
岩のうえでこちらを向きながら、人間がやるおやつを待っているのでしょうか?前脚がちょっと短いなとか、下の画像のチョウセンシマリスと比べて顔がちょっと丸いなと感じました。大人になりかけている個体かしらね?実際はどうなんでしょう?
長野県の松本市でもこんな可愛いシマリスを撮影できました。下の画像です。
ガードレールの上に登っていて、たまたま車で近づけたのですが、こう言う時って動かないんですよ。ポーズを取ってくれているみたいですね。
こしてみると、両種の色の違いなどがしっかり確認できますね。上の画像と比べても顔などキリッとしていて長く、手も長く感じます。
ところで、シマリスたちに適した気温とかあるのでしょうか?
7月15日の北海道の黒岳五合目の標高は1300m、気温は15℃でした。山頂は標高1984mでしたので、11℃程度でしょう。
シマリスは冬眠するようですが、夏の間にたくさんの食べ物を蓄えておき、標高の低い場所などで、厳しい冬を乗り切るのでしょうか。
一方、長野県のシマリスたちも、決して暖かい場所にいる訳ではありません。
下の画像でお分かりのように、シマリスの生息地は、サルオガセがあるような山の中です。サルオガセは、霧がかかるようなある程度高い山の樹木にできる地衣類の一つです。白っぽいふわふわしたようなものが左上に見えますね。それがサルオガセです。
この頃の気温は17℃から21℃程度で、冬に備えて餌を集めていた時期だったのかも知れません。
下の画像は、何かをかじっているように見えますね。
チョウセンシマリスは、樹上で生活するニホンリスとは違って、地上と樹上の半樹上性の生活し、地下に営巣するようです。時々こんな姿も見せてくれました。
20−30mもある高い樹木のどこまで登るのか知りませんが、樹木を生活に利用にしているんですね。時々顔を見せて、また隠れて・・・と言うことを何度も繰り返して、私を観察していました。
でも、疑問に思われませんか。こんなに可愛いシマリスですが、一方は保護され、一方は駆除対象の外来種扱いなんです。
北海道のエゾシマリスは鳥類保護管理法によって保護されています。ですので、大雪山などで私のようなものまで簡単に出会うことができたのだろうと思います。
一方、チョウセンシマリスは韓国から輸入されていた時代があったようです。しかも江戸時代に輸入した証拠まであるとか・・・!(※2)
少なくともそのような時期にペットとして飼い主が求めたものだったのかも知れません。外国から輸入され、飼い主が何らかの都合で飼えなくなり、恐らく山に放棄したものなのでしょうね。外来種として狩猟対象ですって!
人間の勝手に持ち込んで放して、都合のいいように扱われている生き物たちが可哀想に思えました。そう思いませんか?
今は韓国からのチョウセンシマリスの輸入が禁止されているようですが、亜種チュウゴクシマリスは輸入されているようです。区別点はチュウゴクシマリスはチョウセンシマリスに比べて体色が薄いようです。
そんな訳で松本市の山で出会ったのは色からしてもエゾシマリスでもなく、チュウゴクシマリスでもなく、チョウセンシマリスと思えました。チュウゴクシマリスもチョウセンシマリスと同じようになって欲しくないとも思いました。
飼っている皆さんは最後まで家族の一員として飼い続けてくださいね。
こう書いてみても、分からないことばかりです。もっともっとシマリスについて知りたくなりました。きっと今頃は冬眠中でしょうから、暖かい春になったらまた現地を訪れてみようと思っています。新たな発見がありますように。
チョウセンシマリス Sciuridae, Rodentia, Mammalia
哺乳綱 齧歯目(ネズミ目) リス科
新潟,山梨,岐阜県で確認されている。上記のように長野県でも確認されていると言って間違い無いでしょう。
《参照資料》
※1 国立環境研究所の侵入生物データベース
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/10080.html※2 シマリス - 日本獣医師会
http://nichiju.lin.gr.jp/small/handbook/2-sima.pdf