【深山でひっそりと咲くミヤマモジズリ:長野県松本市】

可憐な花に心を癒される方は多いのではないでしょうか。山道を歩いているだけでいろんな花に出会いますが、平地で咲くネジバナにも似た、ピンクの可愛らしい花に出会ったのは2021年8月のことで、標高1700m以上の山の中でした。

夏でも霧が巻くような山で、最初ネジバナかな?と思ったほどネジバナに似ていたのですが、葉っぱも違えば、よく見ると花も違います。丈は10cm程度から20cm弱でした。

ミヤマモジズリ Hemipilia cucullata (L.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa (自然公園法指定)2021.8.30 長野県松本市
ミヤマモジズリ 2021.9.2 長野県松本市

ピンクの小さな花は、下が3つに分かれていて、中に濃い色の斑紋を確認できました。

ミヤマモジズリ 2021.8.22 長野県松本市

スーッと一本伸びた茎の根元にある葉は2枚。茎を抱くように付いていますね。日を追うごとに大きくなるのかとも思いましたが、1ヶ月後に別の葉を確認した時には一枚は大きく、もう一枚はそのまま小さかったので、必ずしも2枚が大きくなる訳ではないんでしょうね

ミヤマモジズリの葉 2021.9.1 長野県松本市

名前も分からなかった花でしたが、有り難いことに、時々山でお会いしていた方に「ミヤマモジズリと言うんですよ。可愛いでしょう。モジズリってネジバナの別名でね・・・」などと、優しく教えていただきました。その方も時々、こうした可愛らしい花を山で見ることで、心が癒されているような、そんな感じを受けました。

こうした山の花には不法採取が多いのですが、あまり多くの人に気づかれずに咲いていたのでしょうね。数株を確認できたことは嬉しかったです。

もっともラン科なので、盗掘して持っていっても成長するかどうかは分かりませんね。

ミヤマモジズリ 2021.9.1 長野県松本市

山に行くたびに確認して、そこにあるだけでホッとしていた花ですが、9月に入ると、部分的に花弁も茶色くなってきました。

そして9月下旬には花があったに種ができていたのです。小さい種なのですが、もっと巨大なオオウバユリの種みたいだなって思いました。

何だかんだで花から種までの期間、定点観察できました。この後、種がこの場所にこぼれていたら、今年も楽しませてくれるでしょうね。楽しみです。


実はこのミヤマモジズリ、文化財関係や長野県の希少野生動植物には指定されていませんでしたが、自然公園法で指定されています。国立公園、国定公園などで見かけましたら、温かい目でそっと見て、写真で楽しみましょうね。

ミヤマモジズリ Hemipilia cucullata (L.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa

ラン科

自然公園法指定

学名は、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2023年2月17日)引用