アサギマダラのマーキングシーズンになると、各地のフジバカマ畑にカメラを持った撮影者の皆さんが大勢やってきます。アサギマダラの乱舞を撮影したかったり、フジバカマで吸蜜する旅するアサギマダラを撮影したいのでしょうね。う〜〜〜ん、そのお気持ちよく分かります。
私は、2007年からアサギマダラの移動調査に参加するようになり、長野県内各地のフジバカマ畑を見たり、春や夏の間は山でアサギマダラを見つけては撮影したりマーキングしてきました。
カメラマンさんたちは、マーキングされたチョウよりも翅に何も書かれていないチョウに魅力を感じていると思うのですが、どうでしょうか?
アサギマダラがマーキング調査されて、初めて2,000キロ以上も移動することが分かり、そんなチョウに惹きつけられて花畑を訪れる方も多いでしょうね。
マーキングすると油性のフェルトペンの黒い文字が綺麗な翅についてしまうので、きっと落書きみたいに文字は邪魔なんだろうなと思いながらも、「謎の解明のために」と、今年もわずかですがマーキングしています。
そんな私ですが、あちこちで撮りためた写真の中から、山で咲き、アサギマダラを引き寄せている花たちをご紹介しようと思いました。
皆さんがアサギマダラの撮影のために、山の花たちに来るアサギマダラにも関心を示してくれたら嬉しいなと、ちょっぴり思っています。
さて、上の画像ですが、オスのアサギマダラが吸蜜しているこの白っぽい花、何の花だと思いますか?フジバカマだと思いますか?いいえ違います。山の花です。下の画像を見て下さい。
ヨツバヒヨドリです。ちょっとピンクがかっているこの花も、フジバカマのようにアサギマダラを引きつけます。
下の画像はメスですが、ヨツバヒヨドリは、オスもメスも引きつけるみたいですね。
次の花はどうでしょうか?
山ではこの黄色が鮮やかで、よく目立ちますね。ハンゴンソウです。葉っぱが、掌をパッと開いたみたいに大きいでしょ。アサギマダラが捕まえられちゃいそうですね。
案の定捕まえられたみたいです。アサギマダラが翅をいっぱい広げて、喜んで吸蜜していますよ。きっとこの蜜も美味しいんでしょうね。
下のはアザミですね。アザミには種類が多いので正確な名前が分かりませんが、山で見るピンクのアザミは私たちの心を和ませてくれますね。アザミはアサギマダラも癒すようで、ちょっとほっとしますね。
えっ!これってヨモギでしょう!はい、そうです。ヨモギです。私もびっくりでした。
ヒメシジミやヒメアカタテハの幼虫たちはヨモギが大好きなんですが、アサギマダラまで引き付けてしまうなんてね。驚きでした。でもよく考えたら、ヨモギってキク科なんですよね。アサギマダラはキク科の花によく来るので、ヨモギもご馳走なんでしょうね。
そういう私も春のヨモギは大好きなんですよ。新芽をちょっと摘んできて、草餅作ることあります。アサギマダラの場合は、葉っぱではなくて、あくまでも花の密なんです。きっと美味しいんでしょうね。
キク科ついでに、この白い花なんでしょう?背が高いので、多分ゴマナだと思います。日当たりが良い山道にはこの花がたくさん咲いています。
でも木が生い茂ってしまえば、残念ながら花が咲かなくなってしまうんです。山道でも開けた道がどんどん暗くなっている所を見ていますが、悲しいですね。こういう花がもっともっと残って欲しいですね。
では、これ何でしょ?
はい、サラシナショウマですね。白くてフワフワの長い花が山に行くと咲いていますよね。近くでフワフワを見ると意外と綺麗なんですよ。でもこれ、キンポウゲ科の花なんですよ。蜜は甘いんでしょうか?
もう一つ、キンポウゲ科の花に来たアサギマダラをご紹介します。
上の画像は6月4日の撮影です。北上のアサギマダラが北アルプス山麓にやってきて、メスはイケマを探しながら産卵するんです。そんな季節に山で出会うことは、とっても嬉しいですね。
では、また秋に戻りますね。
ツリフネソウでの吸蜜です。この角度でしか撮れませんでしたが、メスのアサギマダラに、ツリフネソウのピンクの帽子を被せてあげたいくらいでした。
もう一つ、ピンクの花。アサギマダラは何の花に向かっているでしょうか?
金平糖のようなピンクの花。ミゾソバかしらね?
と、思いましたが、どうやらアキノウナギツカミのようです。
吸蜜に夢中になって、花にぶら下がってしまいました。
お腹がいっぱいになると、アサギマダラもお休みに入ります。
明確な休眠性を持ち合わせていないと言うアサギマダラです。なので季節に合わせて旅をするのでしょうね。これからの長距離の渡りに備えて、北アルプス山麓で美味しい蜜をいっぱい吸っていって欲しいですね。そして、旅先でいろんな花を訪れ、楽しんで欲しいですね。がんばれ、アサギマダラ!