【北アルプス山麓大町市の高瀬川を 下流に向かって舞うアサギマダラ:千葉ありささん撮影】2015.11.8

長野県北アルプス山麓で、高瀬川を下流に向かって舞うアサギマダラの情報と画像を、知り合いのゆみこさんから提供していただきました。画像は宮城県出身の千葉ありささんの撮影です。

撮影は今年9月14日午前10時頃で、場所は長野県北アルプス山麓大町市平の高瀬ダムから槍ヶ岳を目指す登山道です。高瀬ダムから少し奥に行った辺りと言うことですので、湯股沢、水股沢まで行かない辺りでしょう。

高瀬川を下流に向かって舞うアサギマダラ:千葉ありささん提供

高瀬川の水の源は北アルプスの槍ヶ岳です。

槍ヶ岳から北側に向かって水股川として流れ、沢の左側にある湯股沢と途中で合流して高瀬川になりますが、合流地点のわずか上の湯股沢には、国の天然記念物に指定されている球状石灰石と、その丸い小さな石を作る噴湯丘があります。

千葉さんや私の知り合いのゆみこさんがアサギマダラと出会った場所は、二つの沢の合流地点までは行かない場所で、どちらかというと、高瀬ダムに近い辺りだそうです。

地図があると、分かりやすいでしょう。2つのマップを付けますね。

とりあえず自作のマップです。槍ヶ岳はこの地図では一番南(下)に位置します。

大きなエリアを把握したい時には下のGoogle Mapを拡大してください。

槍ヶ岳を源とする高瀬川は、一旦北に向かって流れます。その後東京電力の高瀬ダム、七倉ダムを経て、国土交通省の大町ダムを過ぎた辺りから、水路を東に変えます。その後大町市の西側に出て、水路を南に取り、大町市、松川村を流れる時には南側を向いて進んでいきます。

南下するアサギマダラを念頭に、川の流れやアサギマダラの向かっている方向を考えるとちょっとややこしいですが、アサギマダラが向かっていたのは高瀬川の下流で、進路を北に取り、ちょうど槍ヶ岳から下るような格好です。地図を見れば大体のところが分かります。

ゆみこさんの証言では「蝶は川上から川下方へ人間の道を使って飛んで行きました。私たちとすれ違うかたちでした」とのことです。

その人間の道と言うのは、東京電力の管理用道路で、車が通ることができる道です。ただ一般車は通行できませんので、湯股温泉などに向かう登山者は、その道を歩きます。

こんな道です。写真は上流方向を向いて撮っていますが、アサギマダラは、川に沿って下っています。

この画像はゆみこさんが提供してくださいました。撮影は千葉さんかしら?

高瀬川の水ってエメラルドグリーンで綺麗ですね。

ゆみこさんは「チカラ強い飛び方が、見たことない感をたかめました」と、おっしゃっています。

旅の途中のアサギマダラでしたら、きっと疲れ果てていたかも知れませんが、山で夏を過ごし、中綱湖周辺で、フジバカマの蜜を吸いに山を降りるアサギマダラでしたら、力強く羽ばたいているように見えても不思議ではないですね。

高瀬川に沿って下っていけば、ちょっと右に折れれば木崎湖、その北側には中綱湖、そして青木湖があります。中綱湖の西側には、アサギマダラのマーキングをする皆さんにはお馴染みの「のっぺ山荘」があります。ざっと直線距離で測っても、北東に約24キロも舞えば、のっぺ山荘周辺のフジバカマの畑で美味しい蜜を吸うことができます。

このアサギマダラは地表近くを舞っていますので、一時的とはいえ川に沿って登山道を下っていたのでしょうね。

のっぺ山荘では、今年のアサギマダラの飛来が例年より4日ほど早く、9月11日にはたくさんのアサギマダラが来ていると、のっぺ山荘の奥さんから電話がありました。

私たちがアサギマダラの調査に入ったのは、早い方で12日から。私なんぞは19日から調査を開始しているので、もしかしたら、のっぺ山荘でこのアサギマダラに誰かが出会っている可能性もありますね。

9月14日といえば、山のヨツバヒヨドリはすでに枯れかかっています。新鮮な蜜をお腹いっぱいに吸うには、やはり山を降りる必要があったのかも知れませんね。山麓の青木湖、中綱湖周辺のフジバカマは、この頃から満開でしたから。

山道での花の写真もゆみこさんが送ってくださいました。

白い花は山によくあるシシウドの仲間のセリ科の植物のようですね。

黄色い花は何でしょうね?キク科のオタカラコウに似ていますが、どうでしょうか?

以前、この高瀬川の下にある東京電力テプコ館で、アサギマダラが鉢植えの黄色いキクの蜜を吸っているのを見たことを思い出しました。アサギマダラはキク科の植物でも吸蜜しますので、この黄色い花の蜜を吸っていてもおかしくないですね。

先日は、大町市ののっぺ山荘でマーキングされたアサギマダラが、台湾で再捕獲されました。

このアサギマダラもきっと、台湾まで行ったアサギマダラと似たようなルートを通って、南下の旅を続けているのでしょうね。

アサギマダラの旅を応援してくださいね。