国際ロマンス詐欺の誘惑:2021.2.26

インターネットサービス SNS の一つ、 Facebook を使っておられる方は多いだろうと思います。私も10年以上前から実名で登録して使っています。Facebook は、各地の皆さんとの交流ができて楽しいですよね。本来実名登録のはずのFacebookですが、近頃は詐欺を目的に偽造登録もあるようです。私に生じた実例から国際ロマンス詐欺の実際の誘惑をご紹介しようと思います。ご自身の生活に役立てていただければ幸いです。

既に登録されている方や、ご存知の方も多いと思いますが、Facebook での友達申請はごく普通にあることです。同じ関心事や趣味の人たちとの暖かい交流は励みにもなりますね。実際、国際ロマンス詐欺の一人と連絡を取り合った最初のきっかけは、詐欺師からの友達申請でした。アジア人の男性の笑っている斜め横顔の写真がページに貼り付けてありました。笑顔はどんな人でも魅力があります。画像の本人のことは全く分かりませんが、その写真を使ったのにも理由があると思われました。

書き込み欄には10歳くらいの男の子の2枚の画像も貼り付けてありました。一枚はキッチンで食器を洗っている写真。もう一枚は、青いスポーツカーのベッドに入っている写真です。家族が撮影したような雰囲気が伝わってきます。

投稿欄への記載は非常に少なく、料理の写真は2枚がありました。エビの料理など、美味しそうな料理がテーブルに並んでいます。料理の向こうに、しっかり働いていることが伝わる男性の手が写っています。家族かお客さんなのかも知れません。黄色人種だと言うことは手の色から判断できます。

その他に、中国の観光地の石碑の画像がありました。

友達欄と「いいね」などのコメント欄に、日本人女性の名前が二つあります。一人は20代くらいの女性。もう一人は50代以上と思われる女性です。クリックするとその人たちのページに飛べますので、確認もできます。他にアルファベットの名前が数人。男性なのか女性なのかも分かりませんが、黒人男性の顔も登場していました。中国の文字の名前は見当たりませんでした。

そんな情報を載せたFacebook のページからは、その人の交友関係が見えてきます。友達や「いいね」の数が少ないので、登録したばかりなのかも知れませんが、後に本人が送ってくれたメッセージの内容から判断すると、住所や職業からはちょっとかけ離れた交友関係を感じました。趣味の幅は広いのであえて触れませんが、気づいた点は徐々にお伝えしますね。

実は、本人からの友達申請があった2日ほど前、私の知人が台湾の黄さんと交流があり、私が友人に送ったデータを黄さんにも送ると電話で伝えられていました。そのため、その黄さんからの友達申請だろうと、私の側の早とちりに原因があったことは、今でも反省しています。そんな訳で私が黄さんの友達申請にOKすると、早速こんなメッセージがメッセンジャーを通して飛び込んできたのです。

「You're friends on Facebook Lives in Shanghai, China」

「こんにちは私の友人、はじめまして あそこの天気はどうですか」

通常、初めての人からは公開しているページへの短い書き込みや「いいね」などがあるのですが、今回はメッセンジャーを通して上のようなメッセージが届きました。この英語と日本語のメッセージが最初でした。

中国の上海に住んでいると言うことです。本人のプロフィールと同じです。

その後、私は中国語で返信しました。

「こんにちは 黄(名前は伏せます)さん 初めまして。こちらは晴れています。朝は0℃でした。日本の冬は寒いです。中国には簡体字と繁体字がありますね。上海では、どの中国語を使いますか?」

実は私は、アサギマダラの移動調査に関係して、台湾の皆さんとFacebook で中国語を使って会話をしています。最初は黒竜江省出身の近所の人に確認していただき、簡体字を使用していました。その後台湾在住の方に、繁体字を使った方が台湾の皆さんには馴染みがあると言うことを教えていただき、その後は繁体字を使用するようにしています。そんなこともあり、上海では簡体字を使うのか、繁体字を使うのかが分からず、「上海ではどの中国語を使いますか?」とお聞きしたのです。

ところがそれに対する直接の返事はありませんでした。そのため、私はずっと繁体字を使用して、メッセージをお送りしました。

彼は最初、日本語を書いてきました。

「それは良い 私は以前日本に行ったことがあります 以前に中国に行ったことはありますか 中国の旧正月。あなたは中国語を話せますか?」

私は「私は中国に行ったことがありません。中国語はまったく話せません。そのため、私はGoogle 翻訳を使っています」などと、こちらの情報を与えました。

彼は中国に住んでいることになっていますので、「大丈夫私はあなたを理解しています 中国語もいい場所です あなたは機会があれば、私は楽しみを持って中国に行くことができます 私は今日本語を話す方法を学んでいます 私はすぐに日本を訪問するため、 あなたは中国語が好きですか?」と、中国に関心を向けさせました。皆さんに伝わりやすいようにそのまま書いていますので、ご理解ください。

私は、「私にとって中国語は、難しすぎます。書くことも、話すこともできません。でも隣の国の言葉なので、中国語には興味があります」と返しました。

続いて、「それは良い 私は中国語を話す方法をお教えします 心配しないでください あなたのことをもっと知ることができますか 私は医者です、あなたの仕事は何ですか」と、送ってきたのです。職業は医者とのことです。

顔写真の男性も凛々しい顔をしており、着ているジャケットの下にネクタイも見え、雰囲気は伝わります。そして「中国語でメッセージを送ってください」との求めに応じて、その後もGoogle 翻訳を使って私からは中国語繁体字でメッセージを送りました。

さらに彼からの情報では、息子がいること、赤が好きであること、スポーツ、ジム、音楽を聴く、旅行が好きであることなどを日本語で知らせてきました。


しかし、その後の情報には驚愕させられました。詐欺師としての重要ポイントだと思われる筋書きは、初日に伝えられたのです。

「イエメンを出たらすぐに日本に行く予定です 私は今イエメンで働いているので」

「はい私は今イエメンにいます 日本に来たらクリニックを開きたいです 私も日本に定住したいです 私が来るとき私は日本で家を買うでしょう 息子と幸せな生活を送る」

まず、今現在紛争地のイエメンにいる、日本で開業したい、日本で家を買い、移住したい・・・皆さんでしたら、この情報を鵜呑みにするでしょうか?


息子との幸せな生活は現に上海で送っているはずなのに、なぜイエメンが突然出てきたのか、非常に不思議で、イエメンを調べました。内戦が今でもあり、空港も爆破されたなどの情報がインターネット上で流れています。でも情報量は非常に少ないのです。詐欺師というものはそういう情報量が少ない場所、紛争地を利用するということも、調べていく中で分かりました。

私からは、日本では今、COVID-19で「緊急事態宣言」が出ていること、新しいウイルスの患者が出ていること、行動の自粛が求められていること、失業や犯罪も増えていることなどをお知らせしました。

中国の医師が日本で開業するには資格が求められます。中国医学がどの程度通用するのか分かりませんが、少なくとも西洋医学の医師でないと、開業は難しいはずです。

そして一番気がかりなイエメン。何をするためにイエメンに行っているのでしょうか?

さらに彼は、息子を持つシングルファーザーであること、4年前に妻を乳がんで亡くしたことなどを書いてきました。

「えっ?」っと私は思いました。Facebook のプロフィールページには「離婚」とあります。

「私はイエメンで11か月働いていますが、ここを離れるのに6か月もかかりません。ここを離れると、引退して良いビジネスを始め、再婚します」と言います。

さらに「私は孤児です。孤児院で育ちました。 私には兄弟も姉妹もいません。 私は両親が誰であるか知りませんでした。 私が成長している間、誰も彼らについて何も言わなかった」とのことです。

衝撃的なことが次々と伝えられます。と言うか、そんな筋書きを相手にこれでもか、これでもかと見せつけるのです。

再婚といっても、相手がいなければ再婚できません。その相手のことは伝えられませんでしたが、Facebook で友達になっている日本人女性のどちらかなのでしょうか?

その後「日本に来る前に、私は、非常にゆっくりとそれを計画します LINEを使っていますかもっと上手に話しましょう」と、LINEへ誘導しようとします。

この時点では、彼がゆっくりと何を計画しようとしているのか、私にはその計画の全容は見えませんでした。日本でクリニックを開業し、永住するにはそれなりのことが求められるはずです。婚約者がいるのかどうかも、この時点ではまだ知ることもありませんでしたが、その日の最後の結びは「大丈夫私の友人、素晴らしい夜を 甘い夢」でした。

初日にしては日本時間で午前9時20分頃から、夜11時半頃まで、こんな会話をメッセンジャーを通してやりとりした訳です。しかも紛争下のイエメンの病院で仕事をしているかも知れない人と、そんな長い時間やりとりできることは、通常では有り得ないと思いました。そして「甘い夢」とは、中国人の通常のお休みの挨拶なんでしょうか?不思議に思うことばかりでした。


翌日は、日本時間で午前8時半頃にメッセージが届きました。

「おはようございますあなたが作るすべてのステップが幸せ、愛、そして平和で満たされますように」と。日本人からでさえこんなメッセージを受け取ったことがありません。

その後、前日に続き、LINEへの誘導が続きました。私は「LINEは相手との時間を共有しますね。それが面倒なのです」と、断ります。

彼からは「知り合ったばかりですが、自分のことを話し合ううちに、アイデアを共有したり、もっと多くの問題について話し合ったりしたいと思います。時間が経つにつれて、将来私たちにとって素晴らしいことがあるかもしれないと信じています...」と日本語で伝えてきました。さらに自分が寛容で、正直で、情熱的で、深くロマンチック…な人なのだと伝え、その後、結婚をほのめかすメッセージが送られてきたのです。

私は夫がいることや、どちらかが独りにならないと再婚ができないこと、クリスチャンであることなどを伝え、聖書の希望も聖句から伝えました。

彼は54歳と言うことですが、本文からは50過ぎの男性が書いているとはとても思えなく、もっと若い人が書いているのだろうと思えました。

面白いことに「あなたは右利きですか、それとも左利きですか?」との質問があり、素直に右利きだと答えました。実はこの質問が、彼が実際に居住している国の文化と大きな関わりがあることを後で知ることになったのです。

料理のことは何度も話題になりました。私は特別好きな料理はないのですが、Facebook に掲載されていた写真には大きな意味があったようです。彼は料理に特別興味を持っていました。異国の人と話すには、調理や天気は話題にしやすいですものね。

さらに、私がクリスチャンと伝えた時、神の概念がないと思われる中国人に、どのように神を分かっていただけるのだろうかと心配していましたが、「創造者」と言う言葉を使ったことで、彼は「知っている」と伝えてきました。

実はこうした会話から、後で知ることになるのですが、彼は実際の中国人ではなく、自国で英語の教育を受け、キリスト教を多少なりともどこかで教えられ、創造者の概念を持っていることを私が気づくことになったのです。


では、私にとって非常に疑問だったエイメンについてもう少し触れてみたいと思います。イエメンはアラビア半島の南西に位置します。何十年もの間紛争が絶えなく、今も内紛が続いています。イエメンでは昨年、空港も爆破されました。日本での情報は非常に少なく、イエメンに対しては人道支援を各国が行っています。詳細は分かりませんが、日本も中国も人道支援を送っています。私は一時的に国境なき医師団の一人としして行っているのかと思い、いくつかの質問を投げかけてみました。人々の生活も、医師団たちの活動も、具体的にもっと知りたいと思ったからです。しかし、具体的には直接の返答は一つもありませんでした。

彼は、テロリストによる戦争が続き、危険な地域に住んでいること、親友の一人を戦争で失ったこと、息子は中国の寄宿学校にいて勉強していることなどを伝えてきました。しかし「ここに来るまでイエメンが危険だとは知りませんでした」との言葉には唖然としました。医師として下調べもしないで外地に赴くなど考えられないからです。


その後日もそのようなやり取りが続き、LINEへの勧誘が続きました。Facebook でのチャットはここでは許可されていないと言うのです。そしてここではLINEしか許可されていないと言うのです。しかし、私の夫のタブレットではLINEができますが、私のパソコンではパスワードが求められ、実質的にできないことを伝えると、Google ハングアウトのアイコンを送ってきました。


仕方なく、ハングアウトをダウンロードし、4日目からGoogle ハングアウトに切り替えました。会話は全て英語で行いました。「ここではビデオ通話を許可しないので、息子とビデオで顔を見ながら話ができないのが本当に辛い」と言っていました。実際、本当ならそうだろうと思いました。

不思議なことに、「私は彼にあなたのことを話しました 彼はあなたと話したいと言った」とのことです。私は息子にとってはおばあさんの歳です。母親を求めてもおかしくない10歳の子供が、なぜ異国のおばあさんと話がしたいのでしょうか?不思議でした。「彼は英語が話せる。電話するお母さんがいないから」と言うのが答えのようでしたが、そんなセリフは同情を買うことはあっても通用しないようにさえ思いました。そして、日本ではまず言わない甘いメッセージを後に、4日目が終わりました。


5日目、息子が私と話したいと言ったという内容を何度も伝えてきます。英語でコミュニケーションを取ることができると言うのです。私の英語は語彙が少なく、文法はめちゃくちゃだと伝えます。実はそこが詐欺の狙いどころなのだと言うことをインターネットの情報の一つから後日知ることになります。どの言語を使っていても、多少間違えてもお互いにわからないことが、理想なのでしょう。

さらに、息子にイエメンのことを伝えたそうで、息子がとても心配していると言います。実際に10歳の子供だったらそうでしょう。毎日心配で泣いて暮らすでしょう。でもその10歳の子どもに、非常に危険な戦争の渦中にいることを、理性もわきまえることができる50代の父親が、本当に伝えるでしょうか?私は疑問でしたが、それは言わずに、私が心配していることを伝えました。

実はそれまで、私は彼の名前を中国語の文字でしか知りませんでした。発音がわからないのです。そこで質問してみました。


「fela khalifa」彼のメールアドレスの頭です。英語だと言いますが、多分違うだろうと言うことは、こんな私にも分かりました。「アラビア語ですね?」と書いても、直接の返事はなく、中国語の方の名前の英語の発音の仕方だけが返ってきました。


中国語の英語読みですので実に発音しにくかったのですが、その後は時々教えてもらった名前を使って、メッセージを書いてみました。実は最後まで彼からの甘いメッセージに、私の名前は一度も登場しなかったのですが、名前を使わないと言うのは、国による習慣の違いでしょうか?それとも、詐欺グループのルールなのでしょうか?偽名で呼ばれても嬉しくないのは分かりますが、今も私の中では疑問に残っているところです。



6日目です。朝から甘いメッセージが届きます。「あなたはいつも私の心の中にいる」。本当でしょうか?

実はホームページを持っている私の利点なのですが、前日、私は英語のページを自分のホームページの中に作成しました。そしてそれを当日、彼が見ることができるようにURLをお伝えしたのです。

どこからアクセスがあったと思いますか?実はイエメンにいると言い続けてきたので、イエメンからのアクセスを期待していたのですが、実はそうではなく、アフリカのガーナだったのです。これには尚のこと驚きました。

さらに、日本と上海では時差が1時間あります。日本の方が1時間早いです。イエメンと日本では、時差が6時間あります。さらに日本とガーナでは時差が9時間です。私とガーナの彼とチャットでやり取りするには、彼が私と時間を合わせるしかありません。9時間もの時差をものとも思わず、こちらが朝の時に、夜のガーナで甘い言葉で「おはよう」と言ってくるのです。詐欺は詐欺なりに努力していることも知りました。

そして、サイトをみた感想として「私はあなたがとても特別だということをあなたに知ってもらいたいのですが、私があなたに言っている唯一の理由は、他の誰かが持っているかどうかわからないということです」と、送ってきました。ホームページの内容には一切触れていませんでした。訪問時間も非常に短いです。

さらに、2日目に質問があった「右利きですか、左利きですか?」の質問ですが、ガーナ人の文化と深い関わりがあったのです。物の受け渡しや握手などは左手では行わないという習慣がガーナにはあるようです。在ガーナ日本大使館のサイトに書かれていて、それを読んだ時、彼の質問の意味がなるほどと、明確になりました。


当日、平凡なやりとりの中で、一番気にかけているのは息子のことだと言うことを全面に出してきました。「私のために祈っていただければ幸いです」この言葉はクリスチャンである私の心を刺激します。嘘でも本当でも、祈りはクリスチャンとしての特権ですので、私としては祈りに含めることを約束します。

「あなたが私にとって大きな意味を持っていることをお知らせしたいと思います

私はあなたのような女性に会ったことがありません」と返ってきました。私は決して特別な人ではありませんが、誠実に生きたいという心からの願いは詐欺を目の前にしても変わることはなく、クリスチャンとして素直に言った言葉なのです。

甘い言葉は徐々にエスカレートし、「私の愛する人」とまで言ってきて、ラブコールは続きます。そして神の存在について話すと「私は神を信じている 私は心の良い正直な人です 私は私がするすべてのことにおいて神を第一に置きます 彼は人間の創造者だからです」と返ってきました。中国人としてはあり得ないだろうと思っていた回答です。

後日ガーナを調べて分かったことですが、ガーナは過去にイギリスの植民地だった時代があり、2000年には人口の7割弱がキリスト教とだと分かりました。宗派の違いはあるにしろ、創造者を信じると言える理由がこの時、理解できました。

「あなたのことを考えずに一日を始めるなんて想像もできません」などと言う言葉を連日続けられると、私にとっては心が苦しくなってしまう数日間でしたが、仕事中だろうと思える時間帯に、私から日本でのCOVID-19のワクチン接種が、まず医療関係者から始まったニュースを中国語でお伝えしました。本来医師でしたら、心が動く情報です。彼は特別大きな関心を示しませんでしたが、イエメンというよりもガーナではまだそういう状況ではなかったのかも知れません。


そして日本時間で8日目のことです。「私は仕事を辞めたばかりです」とのメッセージが届きました。ガーナでは7日目に当たります。これには面食らいました。医師として目的を持って戦時下のイエメンに出向いているにもかかわらず、仕事を辞めたとはどういうことなのでしょうか?

私は詩篇38編の言葉を引用し、「[神]はご自分を恐れる者たちの願いを遂げてくださり,助けを求めるその叫びを聞き,彼らを救ってくださいます。 [神]はご自分を恐れる者たちの願いを遂げてくださり,助けを求めるその叫びを聞き,彼らを救ってくださいます」と告げます。

彼は「私はそれを聞いてうれしいです、私はすべてがすぐにうまくいくと信じています」と返します。すべてが、すぐにとは、いったい何を意味しているのか、翌日になるまで私には分かりませんでした。


10日目のことです。もう彼は、上海の息子のところに帰ることしか考えていません。「飛行機は動くことができます。でも問題は、ここでチケットを入手する方法がわからないことです」と伝えてきて、その後「前に空港で女性に連絡しました 彼女は私のために飛行機を予約できると言った でも問題はここでチケットが買えない 戦争のため、イエメンで自分のアカウントにアクセスする方法がないから」だと言います。

当然私はイエメンの空港と飛行機の運行を調べました。彼は、残念ながら「ここイエメンでは銀行口座にアクセスできない」と私に伝えます。

さらに「彼ら(中国の医師団、あるいは中国政府)は私たちに支払いますが、私たちはここでお金を使うことができません 外出できないから ここでの戦争は今悪化している」とのことです。 単純な日本人の高齢者は信じてしまいそうです。

私はこう伝えました。「危険な地域に残ることではなく、中国政府に訴える方法を全員の皆さんで考えてください。皆さんがいかに危険な場所で仕事しているのか。一日も早く救ってほしいと中国政府に訴えてください。あなた一人ではない。全員の命がかかっています。神に祈って考えてください。神はきっと全員を救ってくださいます」と。

相手が詐欺だと頭の中で考えていた私ですが、一人で逃れようとするのではなく、中国政府に助けを求めることを強く訴えました。彼に冷酷だと思われようが、こうしたことは異国の一年配者に助けを求めることだろうかと冷静な頭で考えたからです。

彼は「あなたはまだ私を理解していません もうここにいたくないと言った ここでの戦争は今悪化しているので 私を傷つけて欲しいですか? 息子を驚かせたい 毎日ここでたくさんの人が亡くなっているのを知っていますか?」と、私に問いかけてきました。

さらに「私がチケットを手に入れるのを手伝ってくれませんか?空港の女性からチケットを買うのを手伝ってほしい 空港の女性は、チケットは2,000ポンドだと言いました 30万円です イエメンの銀行口座にアクセスできないため」と訴えてくるのです。

30万円!?航空機や陸路の便のことは知りませんが、思っていた通り、早急に金額を出してお金を要求してきました。

私はイエメンのアデン空港からどこに行くことができるのか調べました。エジプトのカイロへは行くことができるらしいのですが、今現在はカイロも含め、すべて運行できない状態になっていたのです。

私は騙されていることを理解していました。でも誠実に対応しようと、「息子さんには電話で話してください。まだ10歳の子供だから、心配するでしょう。泣いてしまうでしょう。当たり前です。どうか冷静になってもう一回考えてください。

危険な地域に残ることではなく、中国政府に訴える方法を全員の皆さんで考えてください。皆さんがいかに危険な場所で仕事しているのか。一日も早く救ってほしいと中国政府に訴えてください。あなた一人ではない。全員の命がかかっています。

神に祈って考えてください。神はきっと全員を救ってくださいます」さらに、

「あなたが今、一人でも普通に帰ることができるなら私は安心します。でもお金がない、言葉も通じない異国の地で、一人の行動は危険が大きいです」と、何度も繰り返し訴えました。

そして私は、詐欺だと分かっているのにこれ以上ハングアウトでチャットする気持ちにはならず、何も書かないまま1、2日、放っておきました。

彼からは何回か書き込みがあり、メールやFacebook メッセンジャーで連絡が入りました。

最後のメッセージは「あなたはとても愚かな女性です ばか、あなたとあなたの夫は死ぬでしょう」といった捨て台詞でした。

詐欺が尻尾を出した瞬間です。東洋人の他人になりすまし、しかも短時間で気持ちを炎上させるような甘い言葉で誘惑し、同情を買うような作り話を次々にでっち上げるのです。実際に日本でも何百人もを騙して多大なお金を騙し取っている詐欺集団がやっている手口そのものなのです。実際にたった一人から、何十万円から一千万円以上ものお金が騙され取られているのです。振り込んだお金は戻ってきません。


その後、Facebookの友達申請は私から一方的に切りました。多くの友だちに同様の被害を与えてしまうかも知れないからです。

今日もまたハングアウトにメッセージが届きました。私が昨日、メッセージの発信時間を確認するために開いたことで、音が鳴って通信機器が彼に伝えたからでしょう。でももう開封する気持ちにはなれません。


ここに至るまでに、Facebookの友達申請からたったの10日間です。このサイトをご覧になった皆さん、短い時間で相手を騙す手口をどうか甘くみないでください。実際に被害にあった皆さんのことは「国際ロマンス詐欺」と検索すれば出てきます。

睡眠時間を調整し、短時間で相手を騙し、誘惑してくる方法は非常に巧妙です。戦地に赴いている兵士を装うやり方もあるようです。男性兵士や女性兵士もいるでしょう。イケメンや可愛子ちゃんの画像を使って偽名であなたに近づいてくると思います。でも相手はプロフェッショナルの詐欺です。詐欺の集団の一人で、連携プレイでやっていることなのです。私が発信した後のメッセージの時間や間隔からもそれが理解できました。

あなたに甘い言葉を言い続けても、すべてあなたを騙すために使う言葉です。どうか、皆さんが被害に遭わないように心から願っています。そのためにここに記しておきます。この体験が皆さんに役立つならば幸いです。