【日本北限として隔離分布するハナノキ:長野県北アルプス山麓大町市居谷里湿原】

日本北限とか南限とか言われると、ついつい気になってしまう植物なのですが、ずっと私を惹きつけていたハナノキをご紹介しましょう。

ハナノキはカエデ科の樹木で、長野県内では下伊那郡阿南町と飯田市に自生しており、国や県の天然記念物に指定されてます

実は北アルプス山麓の大町市居谷里(いやり)湿原にもハナノキがあります。居谷里湿原自体は県の天然記念物に指定されており、その湿原中にあるハナノキは、長野県希少野生動植物保護条例に指定されており、日本北限の植物となっています。

落葉高木のハナノキは全国的にも愛知、岐阜、長野県と自生地は限られており、雌雄異株で、葉が出る前に画像のような赤い花が咲きます。

花の咲く4月に何回か現地を訪れてハナノキを確認しています。こんな樹木です。

日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.27 :北アルプス山麓大町市居谷里湿原

手前の人物と比べると、やけに大きいでしょう。周辺の新緑とともにうっとりするようなひと時を味わうことができると思います。

ただ、居谷里湿原には他の木もあったり、立ち入りできない場所が多いので、撮影には非常に苦労しました。

でも雪解けの後、水芭蕉が咲き出す頃に赤い花を咲かせるので魅力的なんですよ。500mmのレンズでやっと撮影できたのですが、それでもこんな程度です。

日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.27:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.27:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.27:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.27:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.28:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.28:北アルプス山麓大町市居谷里湿原

薄ピンクの桜とはまた違った魅力があるでしょう。

この時期にここを訪れる人は非常に少ないですし、足元に咲くミズバショウにだけ気を取られていると、高い樹木の上に咲く赤い花は見過ごしてしまうかも知れません。

日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.28:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.28:北アルプス山麓大町市居谷里湿原

この日は何度もミズバショウとハナノキを入れて撮影を試みましたが、なかなか良い構図で撮影できませんでした。

日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.28:北アルプス山麓大町市居谷里湿原
日本北限で隔離分布のハナノキ 2015.4.28:北アルプス山麓大町市居谷里湿原

ここで長野県内に自生するハナノキに関係して注意事項をお伝えしておきますね。

「ハナノキ」として、園芸店で販売している植物がありますが、すべて外来種のアメリカハナノキと専門家にお聞きしています。外来種は駆除の対象となっている他、花粉が舞うことで在来の花の木との交雑が危惧されています。

外来種を求めても、大きくなって花が咲き、花粉が舞う前に木を切らなければならないとしたら悲しいですね。

阿南町のハナノキ自生地は国の天然記念物に指定されていますし、飯田市のハナノキは県の天然記念物指定されています。

大町市居谷里自体が県の天然記念物に指定されており、県内に自生するすべてのハナノキは長野県希少野生動植物保護条例に指定されています。

現地に仮に苗木などがあったとしても、どうか勝手には持っていかないでください。長野県希少野生動植物保護条例などに違反することとなります。

ぜひ上の注意も考慮しつつ、4月下旬頃に訪れてみてください。気に入った写真が撮れますように。

ハナノキ Acer pycnanthum K.Koch

カエデ科


大町市居谷里湿原に自生するハナノキは、長野県指定希少野生動植物保護条例指定


学名は、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2023年2月17日)引用



【交通】

国道148号線を松本方面から車で行けば、木崎湖の東側に「稲尾駅前」の信号があります。


信号を右折し、山道を登っていくと、右手に居谷里湿原の看板があります。車は4、5台止めることができます。湿原の中には立ち入ることができません。歩いてぐるっと湿原を一周できます。


JR東日本大糸線の列車を利用される方は稲尾駅で降り、信号を渡り、後は徒歩のみです。