【雑木林の赤いゼフィルス・アカシジミ:長野県北アルプス山麓】2015.8.28

このついつい企画の中で今まで取り上げたシジミチョウは、どれもブルーの羽を持ち草原などに住むシジミチョウでしたが、今回は、シジミチョウの仲間の中でも雑木林の樹上で生活するゼフィルスの仲間のアカシジミをご紹介したいと思います。

愛好家たちに「ゼフ」と呼ばれているゼフィルスですが、意識的にゼフ狙いで山に行くわけではないために、アカシジミの写真は非常に少なく、まともな写真もありません。そんなアカシジミですが、こんなチョウです。

アカシジミ:長野県北アルプス山麓松川村2008.7.10

オレンジ色の翅に地の色よりもさらに濃い色の帯が見えますね。帯の縁は白いです。さらに、翅の縁にも鮮やかな濃いオレンジ色の帯があり、下には黒い斑紋のほかに、尾状突起があります。尾っぽみたいみ見えるのが分かりますか。

日本には、アカシジミの仲間で染色体が違うと言われているキタアカシジミがいますが、長野県でのキタアカシジミは生息が不明で、さらに調査が必要と言われています。キタアカシジミの幼虫は、カシワを食べるということでも区別ができるようで、長野県内であっても私は、カシワの木を見るとついつい探してしまうのです。

以前ついついあちこちニュースの中の 【アカシジミ?キタアカシジミ?】長野県北アルプス山麓2010.8.13 で取り上げたチョウは、おそらくアカシジミだろうと思われます。

アカシジミは日本各地に広く分布していますが、キタアカシジミは北海道、東北の一部の地域に生息しており、時には大量に発生することもあるようです。見てみたいですね。

さらに、南の広島県にいる個体をミナミアカシジミと呼んで区別しているようですが、こちらは長野県にいるアカシジミの地域個体群のようです。

何れにしても、キタアカシジミが東北にいるんなら長野県にいてもおかしくないといまだに思っており、カシワの木があると辺りを見るのですが、キタアカシジミには出会ったためしがありません。

ここでご紹介するアカシジミは、カシワを食するのかどうかは不明ですが、個体がいた近くにはコナラやミズナラなどの雑木がありますので、長野県内に広く分布する普通のアカシジミだろうと思っています。どれも画像は良くありませんが、発生時期などを知っていただくには役立つのではないかと思います。

多少なりとも新鮮な個体の確認は2011年6月29日で、北アルプス山麓の中でも大町市のスキー場周辺で撮影しました。

アカシジミ:長野県北アルプス山麓大町市2011.6.29

同日はヒメシジミを同所で、イチモンジチョウ、サカハチチョウ、キアゲハなども大町市内の比較的近い場所で撮影しています。

長野県内の早いところでは5月下旬から舞い出すようですが、6月下旬といっても、比較的新しい方だと思われます。

7月には北アルプス山麓のあちこちでアカシジミに出会っており、翅もかなりすれています。

7月10日が一番上の写真ですね。松川村の山の中で見つけたものです。

この後、何度もその場所を通るのですが、チョウが樹上にいるせいなのか、時間が合わないせいなのか、再会したためしなしです。

2013年には7月11日、大町市にある湿原で出会いました。時間は午後5時。薄暗くなりかけた夕方ということで、活動時間外なのでしょうか。葉っぱの陰に隠れて休んでいました。撮影でもフラッシュを使わなかったために、手振れが多く、それらは見られたものではありません。

アカシジミ:長野県北アルプス山麓大町市2013.7.11

この日に同所で見たチョウには、テングチョウ、ベニシジミ、メスグロヒョウモンがいますが、近くではヒメシジミ、キバネセセリなどが舞っていました。

今年は7月15日に、松本市の北アルプスへの登山道で出会いました。午後2時近くです。

「あっ、赤いゼフだ」と、逃げられないように500ミリのレンズを向けましたが、数枚撮った後、普通の手持ちのレンズで近づくと、シャッターを押す前に、案の定逃げられてしまいました。

7月だと、翅にシミが目立ちますね。

アカシジミ:長野県北アルプス山麓松本市2015.7.15

翅がボロボロになった個体に出会ったのは8月です。

2010年8月2日、小谷村のスキー場です。

アカシジミ:長野県北アルプス山麓小谷村2010.8.2

暑い夏を乗り越えて、生き抜いた姿なのでしょうね。ジーンときてしまいます。

出会った場所は草原ですので、周囲にあまり大きな木もない場所です。その後気になって行ってみましたが、カシワの木は確認できませんでした。恐らく普通のアカシジミなのでしょうね。

アカシジミは朝と夕方に活発に活動するチョウのようで、そういう時間帯に出会っても、写真は撮れなかったのかも知れません。通常私の活動が昼から夕方にかけてですので、偶然であっても、そんな時間帯に出会えるチョウしか写真が撮れません。

ゼフィルスの仲間には「森の宝石」とも言われる非常に美しいチョウがいくつもいます。写真の枚数は非常に少ないのですが、機会があればご紹介したいと思います。

アカシジミ

Japonica lutea lutea シジミチョウ科