ツユクサは日本各地のどこにでもありますので、誰でもが普通に知っている雑草だと思います。
ところがそのツユクサの花を保護する苞とか苞葉と言われる部分に毛があるツユクサがあると昨年アサギマダラの調査で山に行っていた折に、時々現地でお会いしていた方にお聞きしました。
毛があるので「ケツユクサ」というのだそうです。そのような目でツユクサを見たことがなかったので、びっくりしました。皆さんはご存知だったでしょうか?
これが松本市美ヶ原で教えていただいた後に撮影したケツユクサです。
青い花を、手のひらでそっと包むようにして花を保護している苞(苞葉)が分かりますね。そこに白い毛があるのが見えるでしょうか?
学名を調べるサイト Ylist を調べてみました。ケツユクサには Commelina communis L. f. ciliata Pennell という学名がありました。初めて知って驚きでした。
何十年も普通に見てきたツユクサでしたが、ぼーっと生きてきただけだったということに気づきました。
そこで、今まで撮影したツユクサの中に、どのくらいケツユクサが混じっているのだろうと、過去の画像を調べてみました。
わざわざツユクサだけを撮影していた訳ではないので、画像自体が少なかったのですが、それでもいくつか出てきたのには、これまた驚きでした。
これも、松本市美ヶ原での同日の撮影です。場所も上の画像と同じ付近です。
翌日の撮影画像です。
あれ!?っと思いませんか?
毛の生えている位置が違いますね。苞の縁に生えていました。そういうのもあるのですね。
上の画像は2019年9月に小谷村で撮影したツユクサでした。よく見るとこれにも毛が生えているのが分かりました。ケツユクサだったのですね。
分かりにくいので、下の画像は、部分的にカットしています。
やはり、苞に毛が生えていますね。小谷村にもあったのです。
下の画像は、松川村の高瀬川の河原 のツユクサです。
これも分かりにくいので、拡大したのが下の画像です。しっかり毛が見えますね。
松川村の高瀬川の河原風景です。
このような環境に自生していました。
さらに・・・
下の画像は、松本市安曇です。松本平の西山にもあるのですね。
実は、ツユクサとケツユクサは同じ場所にも自生しているそうなのです。
そのような目で見たことはなかったので、同一場所の違った画像はありませんが、毛のない普通のツユクサも参考のために画像をアップしておきます。
上の画像は安曇野市穂高での撮影です。拡大してみましたが、毛は確認できませんでした。
ケツユクサが確認された松川村内ですが、場所は高瀬川の河原ではありません。
これにも毛は確認できませんでした。
上の画像も松川村内です。拡大してみましたが、これにも毛を確認できなかったです。
さらに上の画像も松川村内での撮影です。これにも毛を確認できていません。
実は、思い出したことがあったのですが、2020年に事情があって、埼玉県に行っていました。コロナ禍の埼玉県でしたのでかなりの勇気が入ったのですが、そんなことはともかく、三芳町でヤマトシジミの寒冷地型のブルーのメスを確認していました。ところが、畑などに逃げられてしまい、思うように撮影できないでいました。
そんな折、たまたまとは言え、四方をフェンスで囲まれている唐沢公園に行った時にブルーのメスに出会ったのです。そのブルーのメスが訪花していたのがツユクサでした。
公園の片隅にツユクサやヤマトシジミの食草のカタバミがあり、そこに数頭のヤマトシジミが集まっていました。
運よく撮影できた画像の一部をご紹介しましょう。
下の画像はオスのヤマトシジミです。ヤマトシジミが止まっているのがツユクサですね。毛がないのがわかると思います。花に蜜があったかどうかは分かりませんが、ヤマトシジミはただ翅を休めていただけなのかも知れません。
さらに別の日です。
この日はこんなに素敵なブルーのメスに出会うことができました。オスとはブルーの出方が違いますね。これを初めて見た時には別種かと思ったほど、びっくりしました。でもメスは普通は濃い茶色の翅なんです。ブルーの鱗粉は翅の上に乗っているかのように見えましたが、これではあまりしっかり確認できません。
ヤマトシジミが止まっている葉っぱの横にあるツユクサの苞が見えますね。これにも毛がありませんね。
下の画像は、同じ日に撮影したツユクサを訪れるオスのヤマトシジミです。このツユクサにも毛がないのがわかると思います。
オスの翅のブルーも非常に綺麗ですよね。
そんな訳でツユクサとケツユクサをご紹介しましたが、今年はもっと真剣にツユクサにも向き合いたいと思いました。
ヤマトシジミも寒い時期は、一部のメスのブルーは非常に綺麗ですので、庭のカタバミなどは雑草だと言って抜かないようにして観察してみてください。ケツユクサだけではなく、素敵なヤマトシジミにも出会えますように。
ケツユクサ Commelina communis L. f. ciliata Pennell(標準)(ツユクサ科)
ツユクサ Commelina communis L.(標準)(ツユクサ科)
学名は、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2023年2月17日)引用
どちらも雑草扱いですので、レッドリストへの記載はありません。