【虫取り花の風景:長野県北アルプス山麓松川村】2015.6.12

「虫取り花」なんて言うと、本当に虫を取ってしまう怖い花だと思われてしまいそうですが、実際はこんなに優しい花。長野県北アルプス山麓の「ムシトリナデシコ」の風景をご紹介しましょう。

場所は、田園や河原のある松川村です。

ご覧のように、水田の近くの土手には、白やピンクのムシトリナデシコが普通に咲いています。

一ヶ月ほど前に田植えも終わり、稲も青々してきました。

北アルプス山麓にあるムシトリナデシコの主流は右側のピンク。たまに白いムシトリナデシコもあり、その中間の薄いピンクもあります。

白い花が白花変種かどうかは分かりませんが、そういう種類なのかも知れませんね。

こちらは高瀬川右岸の河原です。

ピンクに混じって、ここにも白花のムシトリナデシコが咲いていました。

以前にも書きましたが、私にとってのムシトリナデシコは河原の花なんです。幼い頃から河原が好きで、河原に行くと石ころの間にピンクの花が普通に咲いていて、そんなところでボールで遊んだり、大きな石のちょっとした影にあるアシナガバチの巣を探すのが好きでした。

高瀬川の石って花崗岩が多いので、河原が白っぽく感じます。

育った田舎は黒っぽい石が多かったので、もっと暗い感じがしますが、高瀬川は明るいので、白いムシトリナデシコがあまり目立ちません。

このムシトリナデシコは、真っ白というより、ほんのりと淡いピンクが入っていますね。

こんな花も見ることができます。

この低い山は高瀬川を挟んで東側の池田町の山です。丘みたいでしょ。気持ちのいい大峰高原があります。広葉樹が多いので、松川村よりもチョウや虫の種類が多く感じます。

高瀬川の上流は槍ヶ岳なんです。槍ヶ岳は池田町とは反対側の西側にありますが、残念ながらここからは見えません。

我が家の庭には、こんな薄いピンクのムシトリナデシコもあります。

シジミチョウ用にと高瀬川にあった花の種を蒔いて、草としては抜かずに、そのままにしているんです。

今は、観賞用としてムシトリナデシコを育てている人は少ないと思いますが、庭で毎年羽化するヤマトシジミや、どこからともなく舞ってくるルリシジミなどの吸蜜源になってくれたらなって思っています。

よく見ると、両手をいっぱい広げて太陽を見ているよう。河原や土手に咲いていても、精一杯生きている感じがします。私たちも元気をもらちゃいますね。

【ムシトリナデシコ】Atocion armeria (L.) Raf. (ハエトリナデシコ、コマチソウ)ナデシコ科


ムシトリナデシコは、幾つかの図鑑では「ヨーロッパ原産で、観賞用に栽培されていたものが野生化した」となっていました。しかし残念ながら2015年から環境省の「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」の中(NO.110)に入ってしまいました。「総合対策外来種」で、定着段階は「分布拡大期~まん延期」とのこと。特に問題となる地域や環境としては「河原」となっています。


選定理由の「Ⅳ」は「生態系被害のうち競合または改変の影響が大きく、かつ分布拡大・拡散の可能性も高い」とのことです。


学名は、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2023年2月17日)引用