【夏の風物詩 ネムノキに集まるミヤマカラスアゲハなど:長野県北アルプス山麓小谷村】2021.7.24

ミヤマカラスアゲハ ネムノキで吸蜜 長野県北アルプス山麓小谷村 2021年7月16日

夏の花って、春に比べたらとっても少ないですよね。チョウたちにとっては貴重な吸蜜源になっているネムノキは、長野県北アルプス山麓のあちこちで見ることができます。

とりわけ小谷村は、そのネムノキに集まるチョウの数が他の北アルプス山麓の市町村に比べてとっても多いんです。

ネムノキでミヤマカラスアゲハなどをたくさん見かけ、撮影させていただいたのは2018年のことです。

ピンクの花に来るミヤマカラスアゲハをまた撮影したいと、中土の瑞穂館の相澤さんを先日お尋ねしてみました。

相澤さんは高齢化のため、すでに瑞穂館を閉めていました。お話をお伺いすると、「去年は花が少なかったのでチョウも少なかったけれど、今年は花がたくさん咲いたので来ているよ」。ニコニコ笑いながら話してくださいました。

お話の通り、数頭の黒っぽいチョウがネムノキの周りを舞っていました。

おやおや、カラスアゲハでしょうか?

相澤さんはネムノキの下にユキヤナギも植えていますので、伺った時にはホシミスジも吸蜜に来ていました。

ミヤマカラスアゲハは黒い大型のチョウですが、青や緑色の線が後翅にまで伸びているように見えて、とっても綺麗です。

遠くから見ると黒いチョウにしか見えないと思いますが、そんなチョウですのでピンクの花と組み合わせでもう一度撮影したいと思っていたので、伺ったという訳です。花もチョウも新鮮でラッキーでした。

伺った時はちょうどキハダを切る時期だったようで、一輪車に黄色い木の内側の樹皮が積まれており、触らせていただくと、スポンジのように柔らかく、たくさんの水を含んでいるような感じでした。干してから出荷するようで、庭に広げて干そうとしているところでした。

実はそのキハダこそが、小谷村のミヤマカラスアゲハの食樹なのです。

元々小谷村では山にもキハダがあるそうなのですが、製薬会社に樹皮を売るためにキハダを村内各地に植えたことがあったそうです。

そんな訳で村内の至る所でミヤマカラスアゲハが発生します。ちょうどネムノキの開花の頃なんです。

旧瑞穂館は、妙高戸隠連山国立公園の入り口にあり、雨飾山や鎌池に行く時などにその前を通ります。

ネムノキは、奥さんが欲しくって植えたものだとお聞きしていますが、木はずいぶん成長して見上げるほどになりました。お客さんに見ていただきたかったのでしょうね。

実はネムノキは、近くの公民館に庭にも、小谷村役場にもあります。その他村内のどこということなく車で走れば民家の庭などで目に付きます。この時期は大型のチョウで賑わっていると思います。

お隣の白馬村でもネムノキを見ますし、池田町や松川村の河原にも自然に生えたと思われるネムノキがあります。大町市では市立大町病院付近の国道沿いの街路樹にネムノキが使われています。でも小谷村以外のネムノキにたくさんのチョウを見ることはまずないです。

どうやらネムノキにミヤマカラスアゲハなどのチョウが集まるのは、小谷村だけの夏の風物詩のようです。

画像はありませんが、キアゲハも、ジャコウアゲハかな?と思うようなチョウもいました。ネムノキは夏のいろんなチョウたちに利用されているのですね。

余談ですが、工事現場で水が流れているところにも数頭のミヤマカラスアゲハを見ることがあると、地元の方からお聞きしました。集団での給水でしょうね。見てみたいな〜。

機会がありましたら、ぜひ小谷村を訪れてみてください。

地図のポイントは小谷村役場です。役場の玄関近くにもネムノキがあり、たくさんのミヤマカラスアゲハなどが集まります。