【山裾にも河原にもすむミヤマシジミ:長野県北アルプス山麓】2016.7.22

イブキジャコウソウの花で吸蜜するメスのミヤマシジミ:長野県北アルプス山麓 2013.6.23撮影

長野県北アルプス山麓にすむミヤマシジミ。河原にも山裾にもいます。生息環境はかなり違いますが、幼虫はどちらも食草のコマツナギを食べて育ちます。斑紋の違いは固体によってそれぞれでしょうが、翅を閉じた時に見える後翅の青い斑紋が魅力的ですよね。

2013年の画像からご紹介しますね。これは河原のミヤマシジミです。山にも河原にも咲く、イブキジャコウソウで吸蜜しています。イブキジャコウソウがある山に行くと、必ずミヤマシジミがいるということはありません。と言うのは、ミヤマシジミの幼虫の食草はコマツナギという、全く別の植物だからです。これはメスです。青い斑紋、わかりますか?

同じ日に河原で、真っ赤な実を付けたヒョウタンボクの葉っぱに止まった別のメスにも会いました。翅の色がちょっとだけベージュっぽいですね。メスの翅はこんな感じです。

河原にはムシトリナデシコやイブキジャコウソウなどたくさんの花があるほか、広い空間がいっぱいありますので、ミヤマシジミたちはいろんな花で次々と吸蜜し、のびのびと一日を過ごします。

ヒョウタンボクの葉に止まるメスのミヤマシジミ:長野県北アルプス山麓 2013.6.23撮影

オスの翅はブルーでとっても綺麗です。

メスの表翅は黒褐色ですが、オレンジの斑紋が表にも現れて、これもまた綺麗ですよ。

河原の石の上で翅を広げて休むミヤマシジミのオス:長野県北アルプス山麓 2013.7.5撮影

オスもメスも、羽化してから日数が経過すると、どんどんこの輝きがなくなっていきます。時々、ボロボロの翅の個体を見ることもあります。でも懸命に蜜を吸ったり、羽ばたいている姿は感動的ですよね。

夕方、太陽が沈んでから河原に散歩に行くと、こんな姿のミヤマシジミたちによく会います。細い草に止まり、翅をたたんで小さくなって休みます。

翅をたたんで休むミヤマシジミ♂:長野県北アルプス山麓 2013.6.20撮影

ミヤマシジミも夢を見るのでしょうか?どんな夢を見るのでしょうね?

一方、先日山裾のミヤマシジミにも会いに行ってきました。

コマツナギが数本あり、その蜜に頼って生きているようでした。その場所はハンミョウも住むところで、山の一部が削られ、なだらかな路頭のようになって、土がむき出しになっているところです。そこにはほんの数本のコマツナギしかなく、そんなところでも3頭のミヤマシジミがいました。

カメラを向けると、むき出した土の上に止まり、身動きしようともしません。

レンズを近づけるのは平気でしたが、茶色の土で自分たちの体を隠しているようで、あまり長い間レンズを向けていることが、なんだかちょっと申し訳なく思ってしまいました。

山裾の路頭のミヤマシジミ オス(手前)とメス:長野県北アルプス山麓 2016.7.20撮影

上の画像も下の画像もトリミングしていますが、実際はこんなに大きなチョウではありません。

でもオレンジの帯の中にある黒い斑紋の中に、ほんのわずかな青い斑紋が見えますか?

山裾の路頭のミヤマシジミ オス(手前)とメス:長野県北アルプス山麓 2016.7.20撮影

奥のはメスですが、翅をたたんでしまうと、いるかどうかさえわかりませんね。

ミヤマシジミは長野県の南信の方ではかなり少なくなっているようで、保全活動がなされています。

北アルプス山麓では、普通に見ることができますが、山裾では食草が少ないことや、河原だと、大水が出て流されてしまえばそれまでです。生息地を確保しておくことって大事ですね。

食草の豆科のコマツナギは種で簡単に増やすことができます。南信のミヤマシジミの生息地にこのコマツナギの種をたくさん蒔けば、きっと絶えないだろうなって思ってしまいます。

ちょうど今、ピンクの花を咲かせたコマツナギが満開です。ミヤマシジミを探す時には、まずこのコマツナギを確認することです。

ミヤマシジミの食草のコマツナギ:長野県北アルプス山麓 2014.6.21撮影

今日夕方、暗くなりかけている時に散歩に出かけたら、ちょうどコマツナギで休んでいるメスのミヤマシジミがいました。

もう翅が擦れている個体もいますが、これは綺麗なので、羽化後、そう何日も経っていないのでしょうね。ミヤマシジミはほぼ実物大です。

上の写真ではコマツナギの花がクズの花のようにかなり大きく見えてしまいますが、コマツナギの花って全体で2センチ程度で、こんなに小さいんですよ。

コマツナギで翅を休めるミヤマシジミ:長野県北アルプス山麓 2014.6.22撮影

ミヤマシジミはヒメシジミに非常に似ていますが、食草のコマツナギが近くにあれば、ミヤマシジミかもしれません。

シジミチョウですので、小さくてあまり目立ちませんが、幼虫たちがコマツナギで成長し、世代をつなげて生き抜いて欲しいですね。

6月から10月半ば頃まで観察を楽しめます。

【ミヤマシジミ】

Plebejus argyrognomon praeterinsularis

シジミチョウ科ヒメシジミ属

環境省レッドデータブック:絶滅危惧ⅠB類(EN)(準絶滅危惧NTからランクアップされています)

長野県レッドデータブック:準絶滅危惧(NT)

周辺の県では減少しているところもあるようです。保全が大事かもしれません。