白馬村の山の中で、ひっそりと咲いていた白いカタクリ。春のはかない命でもあるスプリング・エフェメラルの一つです。
春を待ちわびて咲き、意識的にそこに行く人にしか見てもらうこともない、けなげな花。
紅紫色のカタクリの群生の中にほんの1輪。白花変種でしょうか。
白いカタクリ:長野県北アルプス山麓白馬村 2010年5月撮影
「見て、見て」と自分をアピールすることもなく、他のカタクリと調和よく、心地よく、楽しんでいるかのように咲いていました。
カタクリが咲くのを待っていたかのように羽化するチョウたちがいます。
こちらもスプリング・エフェメラル。ギフチョウとヒメギフチョウです。
ギフチョウとヒメギフチョウは、前年産まれた卵が幼虫になり、その後、蛹の姿でずっと土の中などで眠っています。
翌年、暖かな陽気になると、いつの間にか明るい山裾で羽化し、そして舞い出します。
白馬村にとってはどちらのチョウも天然記念物です。
ギフチョウやヒメギフチョウたちにとっては、カタクリの花の蜜はとっても美味しいご馳走なんです。
カタクリの蜜をたっぷり吸って、ギフチョウもヒメギフチョウも、ずっとずっと、北アルプス山麓で舞い続けてほしいですね。
カタクリ Erythronium japonicum Decne. (ユリ科)
シロバナカタクリ Erythronium japonicum Decne. f. leucanthum (I.Yamam. et Tsukam.) Okuyama (ユリ科)
自然公園法で指定されていますので、国立公園などでは採取しないように注意しましょう。
学名は、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2023年2月17日)引用
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