写真を撮りたくて産地に行き、探し求めるチョウもいますが、たまたま偶然に出会ったチョウもたくさんいます。そんなチョウの一つにウラナミシジミがいます。
翅の裏に波の模様があるので「ウラナミシジミ」と名前がつけられたのでしょう。
8月6日、別のチョウや気になっていた花の写真を撮りたくて行った安曇野市の展望台がある小高い山で夕方、たまたまウラナミシジミがせわしく舞っていました。
吸蜜するわけでもなく、花の散ったウツボグサに止まったかと思えば、すぐに舞い立ったり。
そんな訳でカメラを近づけることさえできませんでしたが、久しぶりに出会ったチョウです。とりあえず、こんなチョウです。
ウラナミシジミ2015.8.6-293長野県北アルプス山麓安曇野市
あまりパッとしないですね。
翅の裏の模様はこんな感じです。
ウラナミシジミ2015.8.6-303長野県北アルプス山麓安曇野市
ウラナミシジミの幼虫は、マメ科の植物を食べるために「エンドウ豆、大豆や小豆を作っている畑にいると出会えるかもしれないよ」と、教えてくださった方がいます。要するに豆類を作っている農家のみなさんにとっては、「害虫」と呼ばれているチョウの一つなのかもしれません。
でも、このウラナミシジミを探すために、大豆畑をうろうろすれば、私の方が怪しまれますよね。で、あえて探し求めることはせずに、偶然に出会ったチョウだけを撮影しています。
とはいえ、なかなか出会う訳ではなく、今までにも10回程度撮影できただけで、データもそれほどありません。
生息状況も気になる一つで、幼虫や蛹で越冬するようですが、フィールドガイド日本のチョウ(日本チョウ類保全協会編・誠文堂新光社発行)によると、「本土で越冬できるのは九州〜関東地方南部沿岸の温暖な地域に限られ…」とありますので、冬の厳しい信州北アルプス山麓では越冬は無理なのでしょうね。
ウラナミシジミはそんなチョウですが、実はもう霜が降る、もう降ったのかもしれない2008年11月22日、北アルプス山麓でも成虫を確認しています。それがこの個体です。
ウラナミシジミ2008.11.22-134長野県北アルプス山麓池田町
北アルプス山麓池田町の池田町立美術館の庭で、黄色いキクの花で吸蜜していました。この写真で見えますが、ウラナミシジミの特徴は、裏の翅の後ろの方にある一本の白くて太い線なんですって。覚えておいてください。
撮影データを調べてみましたら、ウラナミシジミを撮影したほとんどが、9月から11月の秋でした。
8月は今回が初めてでしたが、暖かな太平洋側で羽化したチョウが、夏から秋にかけて、北アルプス山麓にやって来ていると言うことかも知れませんね。
残念ながら豆の畑での撮影はありませんが、シロツメグサでの吸蜜やキクの花での吸蜜を確認しており、枯れたウツボグサにも何度も止まったところを見ると、いろんな花で吸蜜したり、休んでいるのでしょうね。
ところで、一番上と2番目の個体は同じで、メスだと思うのですが、ウラナミシジミのオスの表の翅は非常に綺麗ですよ。
これです。
ウラナミシジミ2012.9.27-99長野県北アルプス山麓大町市
・・・ね!
大町市で2012年9月27日に撮影していますが、青い鱗粉が綺麗ですよね。
下の個体は多分メスでしょうね。
大町市で2011年10月19日に撮影した個体です。
ウラナミシジミ2011.10.19-205長野県北アルプス山麓大町市
ちょっと地味な感じがしますね。
こんな素敵なチョウですが、これからの季節、どこかで偶然にも北アルプス山麓で出会えるかもしれません。
太平洋側の暖かな地域から、この北アルプス山麓に舞ってきたチョウたちですので、害虫なんて言わずに、どうか暖かく見守ってくださいね。
ウラナミシジミ
Lampides boeticus シジミチョウ科