ショウジョウバカマ ピンク:長野県北アルプス山麓大町市平 2008.4.20撮影
4月から5月にかけて咲く花を、撮りためた画像の中からご紹介しましょう。ピンク、白、オレンジと、色の変化のあるショウジョウバカマです。
長野県北アルプス山麓でショウジョウバカマを見るところは、大方林道沿いの路頭で、ちょっと湿気のある木の下などです。花ですので当然日光が必要ですが、山道の日がよく当たる乾燥したような場所では、あまり見たことがありません。
山道を歩いていると、ピンクのショウジョウバカマを目にして、心が和む方も多いのではないかと思います。雪で枯れ木や枯れ葉が押しつぶされたようなところに、鮮やかなピンクの花がぽつんと咲いていたら、誰だって目を向けてしまいますよね。
私もそうです。ついつい目も心も向けてしまったのです。こんなやさしい花なんですから。
あちこちに残雪を見る北アルプス山麓では、新緑というよりも、まだ薄茶色い風景が広がり、山道は雪解けの水も所々に流れているような時、スニーカーよりも長靴で歩く方が相応しいような場所で、こんな花が咲くのです。 風
雪に耐えて春一番に花開くピンクの花はあまり多くありませんが、長い首を持ち上げてその先にいくつもの小さな花を付けている姿は愛らしいです。 偶
然かもしれませんが、たまたま一回だけ、シロバナショウジョウバカマかな?と思われる白っぽい花にも出会うことがありました。 通
常見ている花がピンクなどの色を持っていると、白い花を見ると「白化変種かな?」などと思ってしまうのですが、白くてもちゃんと学名がついている花も多く、白いジョウジョウバカマには学名がついていました。ただ、これがシロバナショウジョウバカマかどうかは明確ではありません。
白っぽいショウジョウバカマ:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.16
白っぽいショウジョウバカマ:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.16
ショウジョウバカマは決して珍しい花でもないのですが、春の山で見ても、夏も秋も同じ場所に行く訳ではないために、残念ながら四季を通してのショウジョウバカマの姿を見ることがありません。
種で増えるのか、株分けすればいいのかもよく分からないまま春にだけ見ている花の一つです。ただ、花によって微妙に色が違うのが、ちょっと不思議です。
田の畦という場所もありましたが、共通するのは、通常こんな路頭に咲いているのです。崩れそうな場所ですね。
ショウジョウバカマ産地:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.1
ショウジョウバカマ ピンク:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.1
ロゼット状の葉っぱの中から一本の茎を出し、その先端にたくさんの花を咲かせます。 また同じ産地でも、微妙に色が違います。ピンクが濃かったり薄かったり。下の三枚の画像は同じ産地です。
ショウジョウバカマ ピンク:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.16撮影
ショウジョウバカマ 濃いピンク:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.16撮影
咲き始めは濃いのか、咲いて時間が経過しているから色が薄くなったのか、もともと薄いピンクなのかは分かりませんが、こういう花もありました。淡い色はやさしく感じますね。
ショウジョウバカマ 薄いピンク:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.16撮影
これはちょっとオレンジがかっていますね。同じ小谷村の中ですが、産地は違います。色の違いって、何の影響なんでしょう?
ショウジョウバカマ オレンジ:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.24
これも似たような場所ですが、山道を歩いたり、車で走ったりするときに、何気なく目に入りますね。
ショウジョウバカマ:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.30
うつむき加減がちょっと寂しそうですが、冬を生き延びて精一杯花開く姿は感動的ですね。
ショウジョウバカマ:長野県北アルプス山麓小谷村2016.4.30
松川村の馬羅尾高原でも咲いていました。やはり崩れかかったような山の斜面です。あちこちに点々としていますね。
色はちょっとオレンジがかった薄いピンクです。
奥にあるのはシロバナエンレイソウです。エンレイソウにもシロバナがあるのです。
ショウジョウバカマは絶滅危惧などの分類には入っていませんが、北アルプス山麓を散策する折には、山道の斜面などで、精一杯咲いているこんな花たちに、そっと目を向けていただければと思います。
ショウジョウバカマ Heloniopsis orientalis (Thunb.) Tanaka(ユリ目、シュロソウ科)
自然公園法で指定されていますので、国立公園、国定公園などでは採取しないように注意しましょう。
学名は、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2023年2月17日)引用