文旦マーマレード作ってみました 2021.3.29

柑橘が大好きな私は、時々マーマレードを作っています。今回は文旦でやってみました。大きな文旦一つで2瓶のマーマレードができました。

季節によっていろいろな柑橘が出回りますね。今までマーマレードを作った中で特に気に入っているのは、柚子と、弓削瓢柑、そして文旦です。どれも淡い色の柑橘ですが、やっぱ完成品も淡い色で、味、香りとともにそれが魅力なんですよ。

最初に文旦を手にした時のことははっきり思い出せませんが、あの大きな柑橘を手にした時の香りにずっと以前から魅力を感じていました。皮が厚いので捨てるのもったいないなと思いながら果肉だけ食べて、当時は皮は捨てていました。

その後何年間も時は流れました。東北で大きな地震があり、ボランティアで311HELP.comを手伝っていた時、愛媛県の方からどっさり送っていただいた柑橘の中に、文旦が入っいたのです。その方は東北方面にも柑橘を送っていましたが、ボランティアの私にまで柑橘を送ってくださったのです。

その時に「皮をマーマレードにするといいよ」と教えていただきました。でもマーマレードは作ったことがなく、どのように作ったらいいのかさえ分かりませんでした。そして皮の苦さが気になり、その時には完成には至りませんでした。

実は、隣町に住む徳島県出身の友人から、毎年故郷の妹さんから送られてくるユズのエキスを分けていただいており、それを私は一年中調理に使っています。その香りの良さゆえユズに惚れ込み、紅茶に入れたり、調理に掛けたりで、とにかく使い方いろいろで、ずっと楽しんでいるんです。

でもユズ本体をいただいても、皮は薄く切って料理の上に香りの薬味程度にしか使えなかったのですが、ある年からユズジャムを作ってみました。当然徳島県出身の友人に教えていただいてのことです。

苦味は気になりましたが「ユズは捨てるところがない」と言われるほど、全て使うのです。

そうしたユズの経験があってのこと、いろんな柑橘に手を出して、マーマレード作りを始めたのです。その一つが文旦です。その友人からも文旦をいただいたことがありました。妹さんがわざわざ高知県に行って求めてきてくれたという文旦なんです。どうやら当時、徳島にはなかったようです。

高知県まで行って求め、それを送ってくださったのですから、皮を捨てるなんて、とんでもないと思いました。それで何日間もかけてマーマレードを作ったんです。それが文旦マーマレード作りの最初です。なので文旦には特別な思い入れがあるのです。

なぜ何日もかけるのか不思議でしょう。実は、皮の苦味を抜くためだけではないんです。徳島のユズは無農薬だとお聞きしていますが、市販品はわかりません。それで、スーパーなどで入手したユズの農薬を落とすために水洗いはもちろんのこと、沸騰した湯の中に丸ごと入れ、すぐに引き上げたのを使ってユズジャムを作ったことがあったのです。その時にとんでもない失敗をしたことに気づいたのです。

シェフの知人からは「ユズは皮が命」だとずっと以前に教えていただいていましたが、まさか湯の中に数秒つけるだけで、その香りが飛んでしまうとは思ってもいなかったのです。ユズの皮に含まれる香りの元そのものが熱湯によって溶け出てしまったのです。

当然作ったジャムの農薬が減ったとしても、溶け出た命ともいうべき香りまでも失ったら、もうユズではありません。沸騰した湯に入れたユズで作ったジャムは、あの上品な香りのない、ただの形だけのジャムとなってしまったのでした。

その後私は、柑橘の皮を熱湯につけることは一切しなくなりました。ユズであれ、文旦であれ、香りまで失ったら命そのものを失わせてしまうことになります。当然製品としても台無しです。

そのため、ただ水を張ったボールなどに柑橘を数日間ぷかぷか浮かべ、キッチンに立った時に、日に数回水を替えるだけで農薬を取り除いた気分になっているのです。素人考えでやっているので、それで農薬が取り除かれるのかどうかは分かりませんよ。でも命ともいうべき香りは、たったそれだけで守られているんですよ。

そんな訳で、文旦などは果肉を生でいただき、渋皮も薄皮も全て使ってマーマレードを作ります。種は使いません。

本当は少し苦味が増すかも知れませんが、ペクチンを取り出すためにどろっとするままで種を使う方もいらっしゃるかも知れませんね。その種の活用も含め、苦味の抜き方、作り方や分量は、あちこちのサイトを参考にしてみてください。

ユズなど小さな柑橘は時々ポットに種を蒔き、鉢で育ています。種から育てた柑橘は何鉢もあり、そこにアゲハやクロアゲハが来てくれるので、そんな楽しみもあるんです。

アゲハの餌はともかく、この季節、ぜひ文旦でマーマレード作りに挑戦してみてください。薄皮も捨てないで、みじん切りにして使いましょうね。酸味と香り付けにユズのエキスを加えれば最高ですよ。