【糞尿雑記:青木弘貴】2011.6.23

【糞尿雑記:青木弘貴】2011.6.23

2011/06/23 17:22 に ついついペコ が投稿 [ 2018/09/29 9:40 に更新しました ]

私が幼かった頃は畑のそこいらに「肥溜め」がありました。


この「肥溜め」に落ちることを「ドツボに嵌る」と言ったのですが…。(最近は八方ふさがりのような意味でも使われているようです。)


田舎で育った私の年代(50歳代後半)以上の皆さんなら、ほぼ全員がこの「ドツボに嵌る」を体験しているのではないでしょうか。


私は幸いなことにその洗礼を、全身に受けたことはなく片足首までで済みましたが、それでもとても汚くて臭い体験でした。


何故そこいらの畑にそんなものがあったのかというと、今でいう「コンポスト」の役目をこの「肥溜め」が担っていたのです。


糞尿を熟成し液体化させ、それを肥料として野菜に撒いていた訳です。


化学肥料も普及し出した頃だとは思いますが、少なくとも我が家では、金を出してまで堆肥を買うという考えがない、そんな時代でした。


我が家も乳牛を飼っていて、牛糞を父が積み重ねフォークや鍬で撹拌し「堆積」を作っていました。家の隣に牛舎があり、牛舎の続きに体積置場がありましたから、これも相当臭く、集落中の人が臭かったと思うのですが、家畜を飼う家は我が家ばかりではなく、野菜作りのための「肥溜め」は、多くの家にありましたから、近隣からの苦情などは全く無かったのです。それが当たり前の時代でもありました。


私が幼かった頃は、主食である米も、副菜の野菜も完全リサイクルの自給自足でした。


時季になると畑には様々な野菜や果物が生りました。


トマトもきゅうりもナスもりんごも丸かじりが美味いのです。


私は、トマトは塩で、きゅうりは味噌で食べるのが好きでした。


なすはヘタをつけたままの丸々1個を手で揉んで、ヘタを切り落とし、その切り口に箸で穴を空け、そこへ醤油を少し垂らして、もう一度軽く揉んで食べます。ナスの即席醤油漬けの丸かじりです。


りんごは果実が少し小さめで酸っぱい「紅玉」という品種の丸かじりが好きでした。


その頃はまだ水道管の布設はなく、全世帯が井戸水か湧水を飲み水にしていました。


我が家の前庭にも井戸があり、その井戸水を、台所の流しの隅に置いた大きな水甕(みずがめ)に汲み置きして使っていました。


人や家畜の糞尿を肥料とした野菜を、殆ど洗いもせずに丸かじりしていた時代ですから、蟯虫(ぎょうちゅう)が腸内に棲みこむことも、赤痢が発生することも当然ありました。


今ならそれこそ大騒ぎされてしまう大問題が、50年前には何でもない当たり前のことだったのです。私が50年前の暮らしを1人、或いは家族単位でやろうとしても、ご近所様からの苦情は必至でしょう。我が家の裏畑に「肥溜め」など作ったものなら、家族だって私が呆けたと思うでしょう。


ですが、今の産業技術や科学力をもってすれば、糞尿の終末処理を汚物ではなく、臭気のない貴重な有機肥料に変えることは容易なことだと思うのです。


太陽光や風力を電気に変える。


涌水や雨水を飲料水に変える。


糞尿や家庭の生ごみを有機肥料に変える。


私はこうした変換処理器を、国の責任で企業と開発してもらいたいと思うのです。




そんな物なら今もあるじゃないか、と言われそうですが…。 ※続きは投稿欄【続・糞尿雑記:青木弘貴】2011.6.23へ