【アサギマダラ羽化始まる:福岡県 宗像アサギマダラの会】2016.4.3

福岡県宗像市の宗像アサギマダラの会員の家では、アサギマダラの羽化が始まりました。

最初に羽化したのは大久保さん家の「ジャイアン」と、小原さん家の「あさぎちゃん」です。

早速、宗像アサギマダラの会前田秀敏さんから、大久保さん提供のジャイアンの画像を送っていただきました。

前田秀敏さんからの情報を交えながら、ジャイアンの羽化の様子をお伝えいたしますね。

「画像はジャイアンです。両家とも数日前に翅の模様が見えてきたそうです」。

大久保さん宅で蛹になり、羽化を待つアサギマダラ「ジャイアン」1:大久保靖代さん提供

大久保さん宅で蛹になり、羽化を待つアサギマダラ「ジャイアン」2:大久保靖代さん提供

黄緑の蛹に黒い翅の模様がはっきり分かりますね。

「(4月)1日にうっすらと影が見えてきたが、夕方翅がはっきり見えてきた」。

大久保さん宅で蛹になり、羽化直前のアサギマダラ「ジャイアン」3:大久保靖代さん提供

「2日両家とも8時ごろ羽化した。中野さん・加藤さんからの報告どおり24時間以内に羽化したようです。正確には22時間だったそうです」。

大久保さん宅で蛹になり、羽化したばかりのアサギマダラ「ジャイアン」1:大久保靖代さん提供

ジャイアンの誕生です。立派な男の子です!

大久保さん宅で蛹になり、羽化したばかりのアサギマダラ「ジャイアン」2:大久保靖代さん提供

「ジャイアンはカーテンにとまり、そのままで夕方まで、菜の花の生け花に反応せず。朝から花に止らせてもカーテンに戻ったそうです」

ところで、誰が名前を付けたのでしょうね?ドラえもんに登場するジャイアンのようにたくましく、北海道まで北上して欲しいですね。

「ジャイアン」の育ての親「大久保さんからの生態情報」によりますと、「福岡市植物園のオオゴマダラが白い帽子に反応して飛んできたそうです。何度も繰り返しても反応があり、一度は帽子にとまったとの報告がありました。クルクルタオルは本当だったと大久保さんは驚いてました」。

オオゴマダラを見て、くるくるタオルの実験をして、成果を確かめた大久保さん。今では定番になっているくるくるタオルですが、今後アサギマダラの移動調査に役立ちそうですね。

大久保さんの「帽子に止まった」話しで、こんな記述を思い出しました。アサギマダラの自己再捕獲を何例も経験している栗田昌裕さん著の「謎の蝶 アサギマダラはなぜ未来が読めるのか?」(PHPエディターズ・グループ発行)で栗田さんご自身が「500頭に1例」の割合で、自分がマーキングしたアサギマダラに再会していることを書いています。(P86)「これは100km以上離れた遠隔地での割合であり、100kmより近接した地域ではもっと高頻度になるそうです」。

福島県グランデコスキー場で出会ってマーキングした1頭のアサギマダラは、自分から栗田さんに何度も何度も近づき、帽子に止まり、時計の金属ベルトを舐め、さらには左手のサインペンに止まり、ネットにも飛来した・・・とのことです。(P133〜P146)

栗田さんによると「アサギマダラはあり得ない生き物だ!」そうで、「この蝶には『好奇心・好み・意思・執着心・持続性・探索能力・個性』が備わっています」と、おっしゃっている(P138)通りかも知れませんね。大久保さんの帽子体験で、このことを思い出させていただきました。

私はネットよりもカメラを向けて蝶に近づくことが多いのですが、オオイチモンジにも、クモマツマキチョウにも、昨日はヒメギフチョウに、何回か様子を伺うかのように挨拶回りをされた経験があります。

帽子などが特別の匂いを発しているのか、あるいは好みの色の服を着ているのかはまったく分かりませんが、カメラを向けて待ち構えていますと、チョウが向こうから近づいてきて私の周りを1、2周して、また戻って行くということがあるのです。

私の心の中では「その花に止まって、ちょっと動かないで」と、叫びたくなるのですが、こちらの様子が気になるのか、私の手が届くほどのすぐ近くまで来て、周囲を回り出すのです。その行動って一体何なんでしょうね?

山でお会いしたクマおじさんが、「クマに出会った時にはもっぱら電信柱になりきる」と言っていたことを思い出し、ひたすら動かないで立っているだけなのですが、こんなに近くに来るのに、こういう時って残念ながら写真の一枚も撮れないんです。

実はこれは、アサギマダラで言うと、「⑩偵察飛翔 危険を察知して逃げる際に状況確認のため一、二回水平回旋して飛ぶ。」という飛び方に対応します。この文章は、「謎の蝶アサギマダラはなぜ未来が読めるのか?」の冒頭近くの「驚異的な24の飛翔パターンのまとめ」から引用しています。(P40、41)

「偵察飛翔で危険がないとわかれば、もとの吸蜜状況に戻り、危険な対象があると認識すると逃走します。偵察飛翔の間には、危険の正体を見届けるだけでなく、『逃走の活路や経路』も探っているのです」と、栗田さんに教えていただきました。

う〜む、偵察飛翔。妙に納得いたしました。アサギマダラだけではなく、オオイチモンジ、クモマツマキチョウ、ヒメギフチョウにもこの飛び方は共通だったみたいです。その他のチョウはどうかしらね?興味深いですね。調べてみたくなりました。

栗田さんのアサギマダラの経験を含め、吸蜜植物や幼虫の食草をしっかり見分けているアサギマダラのことを考えると、もしかしたら、ジャイアンやあさぎちゃんの育ての親でもある大久保さん、小原さんなどの匂いなども敏感に感じ取って、覚えているかも知れませんね。ジャイアンが大久保さんのことを、あさぎちゃんが小原さんのことを覚えていてくれたら、きっとアサギマダラ自身から近づいてくれるのかも知れません。再開が楽しみですね。

実は、もう一つ栗田さんから教えていただいたことがあります。

「オオゴマダラは、赤い帽子によく集まることが知られており、沖縄などの昆虫園では、お客に帽子をかぶせて、そこに集まる様子を撮影させたりしています。この場合は、赤い色彩だけでなく、整髪料に反応している可能性も含まれています」とのこと。今度は赤い帽子で実験してみたくなった方がいらっしゃるかも知れませんね。これも楽しみですね。

余談が多くなってしまいましたが、宗像アサギマダラの会は4月5日午前10時から、山田フジバカマ園前(道路横)で、羽化したアサギマダラにマーキングして放すそうです。「育ての親が放蝶」とのことです。宗像からどこへ飛んでいくのか楽しみですね。

前田さんによると、「会員の平松さん飼育の幼虫が行方不明になり帰ってこないので、再度『ふれあいの森』からつれてきた幼虫が2日朝前蛹になったと報告をうけています」とのこと。

会員さんたちは「みさご観察」に行ったり、8時から3時までお堂・祠をたどって歩く「大島千人まいり」に新しい方を含めて45人もが参加するなど、アサギファンが増えているそうです。ますます楽しくなりますね。

今年から福岡県宗像の「FUKMU」「FUKM」のマークを使うことになったアサギマダラ。再捕獲されましたら、ぜひご報告をお願いします。


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《再捕獲されましたら》

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